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幻想的なお能 [能・狂言]

関西も昨日梅雨入りしたみたいで、夜半の雨が午前中まで残っていましたが、
昼からは雨も止んだので、今日は、谷町四丁目にある山本能楽堂に「光と照
明による能舞台の陰翳work #12:安達原/色無」を観に行ってきました。
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照明デザイナー藤本隆行氏のLED照明の中で、山本章弘氏がお能を演じる
企画モノ。過去、数回か観てますが、ほど良い光の演出で、ほど良く想像力を
補完してくれる。けっこう面白くって分かりやすいお能です。

公演の前に、山本章弘氏が舞台に登場し、今回の趣向を解説。お能は、5番
の演目で構成されていて、1番目は神様の話、2番が平家物語などの戦の話、
3番目が恋物語、4番目は物狂いの話、5番目は鬼の話。
今回は「安達原」は、5番目の鬼の話に属する物語なので最後に演じられ、お
能が主に野外の能楽堂で演じられていたときは、夕方の光の中で行われてい
たと言うのをLEDで再現しながら、話の展開も加味して、暗い安達原の一軒家
の情景、夜の家の中、留守中に覗くなと言った女の部屋など、闇をテーマに藤
本隆行氏が照明の演出をされたそうです。
山本氏の解説の後、藤本氏による照明の細かな解説もあり、今回は、色を使
わないので“色無”だと言うことでした。
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そして、本編「安達原/色無」のはじまり。
旅の阿闍梨が陸奥の安達原(福島県安達太良山)で夕暮れになり、明かり
をたよりに老婆の住む一軒家に宿を頼むと、快く泊めてくれ、糸紡ぎを見せ
てもらいながら四方山話をしている内に薪が無くなったので、老婆は自分の
部屋を絶対に覗くなと言って薪を取りに行く。
覗くなと言われると覗きたくなるもので、共の者が我慢できずに覗くと、そこ
には、おびただしい死骸の山!ビックリして逃げると、鬼になった老婆が追
いかけてきてと言う話。

普段、客席も舞台も明るい均質な光の中で見ているお能とは違い、舞台に
闇が現れることで、人間の恐怖や好奇心などの表現や簡素な作り物がリア
ルな舞台装置へと変貌する感じで、面白かったです。

本編終了後、山本氏と藤本氏が舞台に上がって、トークや質疑応答などが
行われました。
会場からの感想で、普段は、明るい舞台の上で見えているのに意識から消
している地謡や囃子や後見の方々が暗いせいで逆に気になったと言う人も
いて、なんとなく分かる気がしました。
(話は違うかもしれませんが、文楽の人形も使っている人が妙に気になると
きとまったく気にならないときがあったりするので、ちょっとしたことでも意識
から消せる消せないが分かれるのでしょう)

前に見た色がある演出も面白かったですが、明暗で闇を感じさせるお能も
素晴らしかったです。


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