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季節はまだ早いですが能で紅葉狩 [能・狂言]

今宵は、山本能楽堂に秋の番組、とくい能「紅葉狩」を観
に行ってきました。
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とくい能とは、山本能楽堂でやている初心者や外国の人向
けの解説付きのお能の会だそうで(外国のお客さんも多か
ったです)、番組のはじまる前に山本章弘さんと通訳さん
が舞台に登場し、紅葉狩の見どころなどを解説。
しばらく解説の後、山本章弘さんは衣装を着替えに舞台裏
に引っ込み、通訳の方が引継ぎで壁に映し出されたスライ
ドでさらに詳しくストーリーを説明してくれました。
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ほどなく番組の始まり。所は信濃国(長野県)戸隠山、先ず
は、紅葉に見立てた赤、薄紅、橙、緑の派手な衣装を身に
まとった、シテの高貴な女性(実は鬼神)の山本章弘さん
を含めた4人の女性が登場し、しばらく紅葉狩りを楽しむ
華やいだ風情が繰り広げられます。
次に登場するのが、鹿狩りに来たワキの平維茂(福王知登
さん)。宴会の邪魔にならないように静かに横切ろうとし
ますが、女性に呼び止められてお酒すすめられ、ついつい
お酒を飲んで寝込んでしまうと、それを見計らったように、
シテの高貴な女性は岩山に隠れ、他の女性たちも去ってい
きます。
酔って寝込んでいる維茂のところに男山八幡宮の使いだと
いう武内ノ神(茂山茂さん)が現れて、あの女たちは鬼な
ので退治するようにと神剣を渡します。
維茂が眠りから覚めるとシテの高貴な女性が本性の鬼神の
姿で岩山から現れ維茂と壮絶な戦いを繰り広げ、鬼神は維
茂に切られて最期を遂げるという話。

山本さん曰く、なんとなく終わったのか終わってないのか
が判らない感じで、ぼんやりと終わる演目が多い能の中で
は珍しく、起承転結がはっきりした判りやすい能だそです。
(それでも切られて死んだ鬼がやおら起きて、維茂と一緒
にしずしずと舞台を去っていく姿はやっぱりお能だなって
感じですが・・)

番組が終わってからは、再び山本章弘さんと通訳さんが登
場し、質疑応答の時間。よくある誰も質問しない形ばかり
の質問タイムかなと思っていたら、山本さんの回答が辛辣
で、なんだかすごく盛り上がりました。
能は舞台も物語のシンプルなのでなぜ衣装だけ絢爛豪華な
のか?と言う質問に対して山本さん曰く、秀吉が見るだけ
では飽き足らず自分も舞台に上がってきだしたので、派手
好みの秀吉の影響で衣装が派手になったそうです。
女性を演じる時の気持ちはと言う質問には、声色を変えた
りなど女性を演じているわけではなく、おっさんが女性の
面をかぶっているだけで、それ以上はお客さんの想像力に
ゆだねている。能は不親切な演劇で、舞台装置も演者も基
本的にはお客さんに向かっては、なにも説明も主張もせず、
あくまで見ているお客さんの想像力に任せる演劇だそうで
す。
能面に関して、面をつける人とつけない人の違いは何か?
と言う質問に関しては、生身の男性を演じる時は面をつけ
ないのとワキは基本的に面をつけないそうです。
同じ演目はすべて同じ演技演出(謡や舞など)なのか?と
言うの質問に対しては、役者は型通りに行うのが基本、し
かし、演技や演出に差が無い分、役者の個性が現れるので、
そこを見てもらいたいそうです。
シェークスピアの演劇も、昔はすべて男性が演じていたが、
時代とともに男性の役は男性、女性の役は女性になってき
た。能もそのような変化は起きるのか?と言う質問に対し
ては、今は女性の能楽師もいて舞台に立つが、役柄として
男女で分けてはいない、男女関係無く役を演じている。
男女の流れで、なぜ演者は男性が多いのかと言う質問には、
能が武士の娯楽だったころ殿様は男色が多かったからだな
ど通訳の人が困るような回答がバンバン出てきて、思わず
笑いが漏れていました。
あとは、スポーツも少し齧るだけでも見るポイントが分か
て面白いのと一緒で、能も少しだけ習ってもらうとさらに
楽しく見られるので是非習ってくださいってことでした。

能はたまに見てますが、分かり易くは無い芸能ではないの
で、解説や観劇後の感想も含めて一曲を分解しながらじっ
くり見るのも非常に面白かったです。

お能前の腹ごしらえは、能楽堂近くのカレー屋「まんねん

カレー」さんで、ほうれん草カレーをいただきました。
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初味覚のマイルドでほうれん草たっぷりのカレー美味しか
ったです。カレーライスとカレーつけ麺を提供するちょっ
と変わった店でした。

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