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今年も志の輔さんの落語 [落語]

爽やかの秋晴れの中、今日は、毎年楽しみにしている立川
志の輔さんの独演会「志の輔らくご in 森ノ宮 2019」を
聴きに森ノ宮に向かう道すがら気になていたギャラリーも
めぐってきました。

先ずは、谷六の“+1 art”さんで開催している倉貫徹さんと
高橋功樹さんの二人展「虹下の対話 Dialogue under the
rainbow」を拝見。
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倉貫さんの方は、水晶や奇石や河原の石などの鉱物を使っ
てオブジェや絵画を制作する齢70歳あまりの作家さんで、
高橋さんの方は30代で哲学を愛し、フレスコ画などの技法
で、まるで地層や錆びた鉄板のような抽象的な絵画を描く
作家さん。と言う年齢も作風にまったく違うお二人のコラ
ボした展示室は、まるで採掘現場のような風情で、何億年
と言う単位の地質学的な時間を感じられる面白い展覧会で
した。
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ちょうど倉貫さんがいらして、珍しい石や現代アートの現
状の話を聞かせてもらい、石もアートも良いモノを見極め
る目と感性の大切さを教えてもらいました。感謝です。

次は、難波のTEZUKAYAMA GALLERYさんでやっている
井田大介さんの個展「着られた指」と「M×M コレクショ
ン」を拝見。
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井田さんは、彫刻や映像で、インターネットによって急激
にグローバル化が進む世界での産業の構造の危うさや矛盾
を可視化する作品を作ってらして、無機的なトウモロコシ
畑やトラクターで引っ張って裂けるリーバイス、人間の身
体を理想化したギリシャやローマの彫刻と現代のマネキン
(ツイッギーが登場しミニスカートブームか起きたことで
マネキンに膝が作られたそうです)をデータで融合した彫
刻などが飾ってありました。ネット上に無数に存在するロ
ダンの地獄の門の写真データをAIが再構築したオブジェは
近いような遠いような不思議な風情で面白かったです。
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そして、在阪のコレクターM氏とギャラリーディレクター
松尾(M)のコレクションを紹介する「M×M コレクション」
の方は、村上隆さん、名和晃平さん、愛☆まどんなさん、
KAWSさん、梅沢和木さん、KYNEさん、ジュリアン・オ
ピーさんなどなど、今、正に最前線で活躍している現代ア
ートの作家さんの作品が飾ってありました。

そして、CAS(特定非営利活動法人キャズ)さんでやって
いるハンブルク・大阪友好都市提携30周年記念帰国報告展
「WAVES-FREQUENCES (波-周波数)」も覗いてみました。
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6月にハンブルクにて開催したドイツ展の報告会って感じで、
今井祝雄さん、稲垣智子さん、瀧弘子さん、川端嘉人さん、
笹岡敬さんの作品が展示してあります。
ちょうど川端さんのビール瓶のシーソーの調整中でビール瓶
をちょっとづつ動かしてバランスを取る作業を邪魔にならな
い隅の方で眺めさせてもらいました。
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見に行けてませんが、交流展ってことで、今月初旬にはハン
ブルクの作家さんが展覧会を開催したそうです。

そして、本日のメインイベント、立川志の輔さんの独演会
「志の輔らくご in 森ノ宮2019」を聴きに森ノ宮ピロティ
ホールへ。
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本日の演目、先ずは、8番弟子の志の大さんの“一目上がり”、
次もお弟子さんで、7番弟子の志の麿さんの“初天神”。
そして、志の輔さん登場で、最初は新作落語の“買い物ぶぎ”、
仲入り後は、古典で“徂徠豆腐”でした。

“一目上がり”は、あまり上方の方では聞かないネタのような
気がします。ガサツな男が、ご隠居の家で床の間の掛け軸の
ほめ方(賛をほめる)を教わるが、次の家の掛け軸は詩が書
いてあり、その次の家の掛け軸には一休禅師の悟、この流れ
なら次は6だと思って、次の家の七福神の宝船をほめようと
するが・・って話。“初天神”は関西でも子供の出てくる定番
のネタです。

志の輔さんの“買い物ぶぎ”は、ドラッグストアに奥さんの風
邪薬を買いに来たついでに、奥さんから買い物のメモを渡さ
れた屁理屈男の話。昨今、細分化の一路をたどった末の、ほ
とんど同じようなモノが棚にずらりと並んだ製品群の無意味
さを、日ごろほとんど買い物をしないおっさんの目線を通し
て気づかされます。
落語もですが、10年目をむかえたピロティホールでの落語会
や海外公演でのこきりこ節、空港にあるマッサージチェアー
の話などなど
たっぷりと聞けるまくらも楽しみの一つです。

最後の“徂徠豆腐”は、落語だけではなく講談でもよく聞く話
で、火事で焼き出された親切な豆腐屋さんが出世した荻生徂
徠の計らいで、豆腐屋を再建するというところで終わる奴し
か聞いたことがなかったですが、再建して初釜の豆腐を徂徠
に届ける場面は初めて聞きました。ある意味新鮮に聞かせて
もらいました。
この話の約7年後、荻生徂徠は、忠臣蔵の元になった赤穂事
件で浪士に切腹をさせることを進言することになるそうです。
今年、国立文楽劇場では仮名手本忠臣蔵の全十一段を春夏秋
の3公演に分け通しでやていて、志の輔さんもすべての段を
見に来たそうです。

今年も楽しいひと時を過ごさせていただきました。感謝です。

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