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コロナとオリンピックを横目に夏の文楽 [文楽]

かたわらではオリンピックもやっていて、コロナ感染の
急増で明日から大阪も緊急事態宣言と言う状況ではあり
ますが、今日は、国立文楽劇場でやっている「令和3年
夏休み文楽特別公演 第2部【名作劇場】生写朝顔話(し
ょううつしあさがおばなし)」を、いつもの文楽観劇仲
間の方々と観に行ってきました。と言っても直行直帰で
席も散ってたので、同じ演目を観たってだけだったりも
しますが、同じ時間を共有すると言うだけでも、それは
それで楽しいものですね。
IMG_9436.JPG IMG_9438.JPG 
そして、図らずも今回観た演目は、先ごろ、重要無形文
化財保持者(人間国宝)に認定された、人形遣いの桐竹
勘十郎さんが、主役の朝顔(深雪)役で出演されていて、
それこそたっぷり勘十郎さんの人形を堪能させてもらい
ました。
IMG_9439.JPG 
先ずは、“明石浦船別れの段”で、浄瑠璃は呂勢太夫さん
に清治さんと御簾内で琴の清公さん。
月夜の明石の浦で風待ちをしている大きな船のかたわら
を小舟に乗った西国の大名の家臣宮城阿曾次郎(和生さ
ん)が通りかかると、その大きな船に京都宇治の地で恋
仲になったが、諸々の事情で別れることになった安芸の
国の家老の娘深雪(勘十郎さん)か乗り合わせていて、
阿曾次郎の乗る小舟に乗り込んできて再会を果たす。深
雪は、このまま一緒に連れて行ってとせがむが、親御さ
んも心配だろうから一筆書置きでも書いた方がよいと諭
され船に戻った時、ちょうどその時風が吹き出して船が
出港。深雪は朝顔の扇を阿曾次郎の乗る小舟に投げ込ん
で、また、別れ離れになってしまう。

次の“薬売りの段”の浄瑠璃は希太夫さんと勝平さん。
この後の段で使うことになる笑い薬を、嶋田宿の宿屋の
主人戎屋徳右衛門(勘壽さん)が、旅の薬売り立花桂庵
(簑一郎さん)から買う場面。
放送禁止用語と言うか、今では公共の場では使えないよ
うな言葉がてんこ盛りで出てくる段です!ある意味でち
ょっとドキドキ!

そして、“浜松小屋の段”の浄瑠璃は、呂太夫さんと清介
さん。
明石で恋しい阿曾次郎と別れ離れになった深雪は、いっ
たん家に戻るが、親の進める結婚話から逃げ、阿曾次郎
を追って家出をしてしまう。阿曾次郎とは再開ができず、
泣き過ぎて失明をしてしまい。今は、浜松で阿曾次郎が
創ってくれた朝顔の歌を詠う乞食の瞽女(ごぜ)に身を
やつしていた。そこに深雪を探して巡礼の旅をしている
乳母の浅香(勘彌さん)が訪れ、無事、再会するが、人
買いの輪抜吉兵衛(簑紫郎さん)に邪魔され、浅香は仕
込み杖の刀で応戦、吉兵衛を倒すが自分も深手をおって
しまい、肩身の脇差を渡して嶋田宿に向かうように告げ
る。(2015年の同じ夏の文楽では、宇治の場面からこ
こまで見てました。)

陰惨な雰囲気になってきたんですが、次の“嶋田宿笑い
薬の段”は、息抜きのお笑い場面って感じで、それこそ
医師の萩の祐仙(簑二郎さん)が笑い薬を飲んでひた
すら笑い転げると言う話です。
浄瑠璃の中は南都太夫さんと清馗さんで、奥は咲太夫
さんと燕三さんでした。
阿曾次郎は伯父の家督を継いで駒沢次郎左衛門と改名
し旅の途中、嶋田宿に泊まることになったが、一緒に
旅をしている政敵の岩代多喜太(玉輝さん)が、駒沢
の暗殺を企て、医師の萩の祐仙に命じて痺れ薬の入っ
た茶を駒沢に飲ませようとするが、宿屋の徳右衛門の
機転で笑い薬にすり替えられ、毒味をした祐仙が笑い
転げて陰謀は失敗に終わる。後半は延々と祐仙が笑っ
ている場面です!

次の“宿屋の段”の浄瑠璃は千歳太夫さんと富助さんに
琴の燕二郎さん。
部屋の衝立に自分が深雪に贈った朝顔の歌が書いてあ
る扇面を見つけ、徳右衛門から朝顔の話を聞いた駒沢
は、深雪ではないかと思い朝顔を呼び寄せ、朝顔の歌
と共に琴を弾いてもらい朝顔が深雪だと気づくが、岩
代の前で名乗ることができず、盲目の深雪も駒沢の声
が阿曾次郎に似てるなと思いながら帰っていく。朝顔
は次の仕事が終わった後、もしやと思い宿に戻ったが、
駒沢は既に旅立っていて、徳右衛門に、金と朝顔の扇
と甲子歳生まれの男性の生き血で飲むとどんな眼病で
も治るという薬を託していた。

最後の“大井川の段”の浄瑠璃は靖太夫さんと錦糸さん。
後を追った朝顔だったが、駒沢は大井川を渡った後で、
豪雨のため大井川は通行止めとなってしまう。深雪は
ここまですれ違うのは、きっと前世の因果で、現世で
は一緒になれないので来世で一緒になりたいと、大井
川を三途の川だと思って身を投げようとするが、徳右
衛門と浅香と共に深雪を探していた関助(玉勢さん)
が駆けつけ深雪を助ける。関助から浅香が夢枕で教え
てくれたと聞き、浅香から託された脇差を見せると、
実は徳右衛門は浅香の父だと名乗り、いきなり切腹を
する、慌てた深雪と関助が訳を聞くと、自分は甲子歳
生まれなので自分の生き血を使った薬で目を治してく
れと言って・・・と言う話。生き肝ならともかく生き
血だったら別に腹を切らなくてもと思いつつ終演とな
りました。

今回のメインは、もちろん人間国宝になった勘十郎さ
んでしたが、2部の名作劇場は三味線が豪華で、清治
さん、燕三さん、錦糸さんの三味線をたっぷり聴かせ
てもらいました。感謝です。
楽しいひと時でした。が、また、明日からしばらく緊
急事態で巣篭もり生活。お盆前には2回目のワクチン
接種も待ってます。

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