落語で花見

花冷えと言うには、寒過ぎだろうと思える日曜日。今日は、動楽亭昼席（四月）を
聴きに行ってきました。
  
今日の演目、先ずは、二乗さんの“強情灸”。灸を据えてもらいに行って、順番を
代わってもらった美人に良いところを見せようと背中いっぱいに灸を据え、ひと騒
動起こしてしまった男が友人のところを訪れ、灸の熱さを熱弁したが、この友人
が負けず嫌いで、石川五右衛門は釜茹での刑の時に辞世の句を詠んだ、灸くら
いなんてことないと腕にてんこ盛りにもぐさをのせて灸を始めるが・・って噺。
二乗さんのどことな爽やかな風情の強情灸がイイ感じでした。

次は、雀五郎さんの“貧乏花見”。ちょうどこの季節の噺です。めかし込んで花見
に出かける人たちを眺めていた貧乏長屋の男二人。一人が金も無いしみすぼら
しい姿では花見にも行けないとぼやくと、もう一人が花見に金は関係無い、金が
無くても気の持ちようで楽しめると、長屋の連中を集めて、花見に行こうと、それ
ぞれにおかずを持ってくるように指示するが、“かまぼこ”ではなく“かまぞこ”等
ろくな物も集まらず、お酒の代わりにお茶けを樽に入れて、とりあえず花見に出
かけるが・・。
ろくなおかずが集まらない場面での雀五郎さんの情けない顔がなんともリアルで
面白い！

そして、まん我さんの“替り目”。ベロベロに酔っぱらった男が夜中に家に帰ってき
て、奥さんに向かって、酒を出せやつまみを出せと散々悪態をつくが、奥さんに軽
くいなされ、家には冷ごはんしかないと言われたので、近所の関東煮の店で何か
買ってこいと、奥さんを買いに行かせ、その間に、日頃言えない奥さんへの感謝の
言葉を熱く語っていると・・って噺。
まん我さんの酔っぱらいの様子が素晴らしい！下戸なので日頃、酔っぱらいを冷
静に見てますが・・若干の誇張は有っても、おおむねあんな感じです！（笑）

中トリは、千朝さんの“植木屋娘”。植木屋のおやじさん、請求書を近所のお寺の
和尚さんに代書してもらっているが、和尚さんが忙しく、代わりに寺に居候してい
る武家の息子である伝吉に書いてもらった。それ以来、伝吉が植木屋に通うよう
になり、植木屋のおやじさんは伝吉をすっかり気に入り、小町と評判の娘お光と
結婚させたいと思うが、身分が違うと和尚さんは承諾してくれない。そんな中、お
光のお腹が大きくなり相手を聞くと伝吉とのこと・・既成事実ができたらこっちのも
のとばかりに寺に乗り込んで・・って噺。
いつもリズミカルな口調で淡々と話をしている感じの千朝さんのイメージでしたが、
今日は、なんだか妙に勢いがあって圧倒されました！もちろん面白かったです。

中入後、紅雀さんの“宿替え”。自分の引越しのまくらから始まり、そのまま引越
しの噺宿替えへ突入。枝雀さん苦心して創り上げた世界を、地でいってる感じの
紅雀さんの話っぷり！素晴らしい！のんきが男が引越しの荷造りをして荷物を
抱え上げようとしている場面からはじまり、すったもんだの末になんとか家を出
るが、奥さんが次の家の片づけを済ませた頃にやっとたどり着く。（間の話は今
回、割愛）奥さんに言われて、ほうきをかけるための釘を打つが、長い釘を隣と
の壁に打ち込んでしまったから大変・・って噺。
何故か？最近、お気に入りの紅雀さん！今回も笑わせてもらいました。

最後は、文之助さんの“景清”。定次郎という職人が目が見えなくなり、観音様の
ご利益で目を治そうとするが、初回は不義理なことをしてしくじり、悪七兵衛景清
が自らの目玉を刳り抜き奉納したという伝説のある清水寺に改めてお参りしろと
すすめられ参拝するが、100日満願の日に目が治らないのに腹を立て観音様に
悪態をついていると、にわかの雷雨！雷にうたれた定次郎の前に観音様が現れ
景清が奉納した目玉を貸してくれると言い出し・・って噺。
文之助さんの話は好きですが、この落語自体は、人情話でもないし、面白いのか
面白くないのか分からないような話です。
落語とは関係無いですが、清水寺の境内地には、景清が自らの爪で石を彫って
作ったと言われる景清爪形観音があって、ちょうど今年の1月11日に見に行って、
このブログに記事も書いてます。

落語の前の腹ごしらえは、話題のあべのハルカスから阿倍野を見下ろすのでは
なく、あべのベルタからハルカスを見上げながら（と言っても地下なので見えませ
んが・・）、今日もカレー！「わのわカフェ」さんでビーフとベジタブルのあいがけカ
レーをいただきました。
  
スパイシーなカレーも美味しかったんですが、アジアンな雑貨が並ぶ店内もイイ感
じでした。