桜は桜でも西行桜 [能・狂言]
一気に冬に戻されたような花冷えの土曜日。大阪の桜も今週で終わりだなって
感じの本日は、花見は花見でもお能の西行桜を見に山本能楽堂に行ってきま
した。
山本能楽堂で定期的に開催されている「たにまち能」の4月の部。今日の演目。
先ずは、お能「百万」。シテ(狂女百万)は、林本大さん、ワキ(里人)は、福王知
登さんで、子方(百万の子)は、吉井紹智くん。
奈良の西大寺で幼子を拾い、嵯峨の清涼寺で行われている大念仏に連れて行
くと、大念仏を行っている人達の前に、女物狂いの百万が笹を振り回しながら現
れ、念仏のリズムが悪いと自ら音頭をとって踊りだす。百万は子供と生き別れた
ことで正気を失い、子供との再会を祈願して清涼寺の釈迦如来に念仏をしてい
る。その様子を見ていた里人が自分が拾った幼子が、百万の子供にちがいない
と二人を再会されるという話。
この物狂い物の様な、心ここに在らずの世界(逆の身体ここに在らずの世界も
含め)の放つ美しさは、人間とは何かと言う命題を突きつけてきますね。
次は、狂言「舟船(ふねふな)」。太郎冠者が茂山あきらさんで、主が丸石やすし
さん。
タイトルそのままの話なんですが、西宮に旅に出た主人と太郎冠者が神崎川の
渡しにさしかかり、舟を呼ぶのに太郎冠者が「ふなやぁ~い」と言ったのを、主人
が“ふな”ではなく“ふね”の間違いだと正す。が、船着き場は“ふなつきば”で“ふ
ねつきば”とは言わないから“ふな”が正解だと反論し、主従が、古歌で“ふな”と
“ふね”の例えを出して言い争うという話。鼻高々の太郎冠者に言い負かされる
主人の苦々しい顔が面白くって、笑わせてもらいました。
間の仕舞は、松浦信一郎さんの「田村」、山本章弘さんの「采女」、河村栄重さん
の「春日龍神」。
最後は、お目当てのお能「西行桜」。シテ(老桜の精)は、波多野晋さん、ワキ(西
行法師)は、福王和幸さん。
京都の西山で庵を結んで暮らしている西行の庵の桜が美しく、春の季節には京
都の中心部から見物客が大勢訪れる。静かに桜を楽しみたい西行だが、せっか
く遠くから来たからと嫌々ながら庵に客を通し桜を見せるが、思わず“花見んと群
れつつ人の来るのみぞあたら桜の咎にはありける”と言う歌を詠んでしまうと、舞
台中央の桜の古木の作り物から老桜の精であるシテが登場し、桜に咎はない!
と、音羽山や嵐山など桜の名所を織り交ぜながら舞を舞い、桜の素晴らしさを伝
えると言う話。西行の桜といえば“願わくは花のしたにて春死なむそのきさらぎの
望月の頃”も有名ですが、桜の季節に、西行のお能を楽しむのもイイもんですね。
西行の桜を楽しんだ後は、大阪では、今年最後になりそうな桜(ソメイヨシノ)を愛
でに大阪城に立ち寄ってみました。
散りかかっていましたが、満開の桜の風情はまだまだ残っていて、無骨で丈夫な
石垣や城門と妖艶で儚いな桜の対比が素晴らしかったです。
お能前の腹ごしらえは、山本能楽堂近くにあるカレー屋「スパイスカリー バビルの
塔」さんであいがけあいめしカリーをいただきました(谷四はカレー屋激戦区です)。
今日のカリーは、肉カリーがマトンで豆カリーが焼き豆腐とターサイでした。どちら
のカリーもめちゃ美味しかったんですが、個人的には豆の方が複雑な風味で好き
なカレーでした。
感じの本日は、花見は花見でもお能の西行桜を見に山本能楽堂に行ってきま
した。
山本能楽堂で定期的に開催されている「たにまち能」の4月の部。今日の演目。
先ずは、お能「百万」。シテ(狂女百万)は、林本大さん、ワキ(里人)は、福王知
登さんで、子方(百万の子)は、吉井紹智くん。
奈良の西大寺で幼子を拾い、嵯峨の清涼寺で行われている大念仏に連れて行
くと、大念仏を行っている人達の前に、女物狂いの百万が笹を振り回しながら現
れ、念仏のリズムが悪いと自ら音頭をとって踊りだす。百万は子供と生き別れた
ことで正気を失い、子供との再会を祈願して清涼寺の釈迦如来に念仏をしてい
る。その様子を見ていた里人が自分が拾った幼子が、百万の子供にちがいない
と二人を再会されるという話。
この物狂い物の様な、心ここに在らずの世界(逆の身体ここに在らずの世界も
含め)の放つ美しさは、人間とは何かと言う命題を突きつけてきますね。
次は、狂言「舟船(ふねふな)」。太郎冠者が茂山あきらさんで、主が丸石やすし
さん。
タイトルそのままの話なんですが、西宮に旅に出た主人と太郎冠者が神崎川の
渡しにさしかかり、舟を呼ぶのに太郎冠者が「ふなやぁ~い」と言ったのを、主人
が“ふな”ではなく“ふね”の間違いだと正す。が、船着き場は“ふなつきば”で“ふ
ねつきば”とは言わないから“ふな”が正解だと反論し、主従が、古歌で“ふな”と
“ふね”の例えを出して言い争うという話。鼻高々の太郎冠者に言い負かされる
主人の苦々しい顔が面白くって、笑わせてもらいました。
間の仕舞は、松浦信一郎さんの「田村」、山本章弘さんの「采女」、河村栄重さん
の「春日龍神」。
最後は、お目当てのお能「西行桜」。シテ(老桜の精)は、波多野晋さん、ワキ(西
行法師)は、福王和幸さん。
京都の西山で庵を結んで暮らしている西行の庵の桜が美しく、春の季節には京
都の中心部から見物客が大勢訪れる。静かに桜を楽しみたい西行だが、せっか
く遠くから来たからと嫌々ながら庵に客を通し桜を見せるが、思わず“花見んと群
れつつ人の来るのみぞあたら桜の咎にはありける”と言う歌を詠んでしまうと、舞
台中央の桜の古木の作り物から老桜の精であるシテが登場し、桜に咎はない!
と、音羽山や嵐山など桜の名所を織り交ぜながら舞を舞い、桜の素晴らしさを伝
えると言う話。西行の桜といえば“願わくは花のしたにて春死なむそのきさらぎの
望月の頃”も有名ですが、桜の季節に、西行のお能を楽しむのもイイもんですね。
西行の桜を楽しんだ後は、大阪では、今年最後になりそうな桜(ソメイヨシノ)を愛
でに大阪城に立ち寄ってみました。
散りかかっていましたが、満開の桜の風情はまだまだ残っていて、無骨で丈夫な
石垣や城門と妖艶で儚いな桜の対比が素晴らしかったです。
お能前の腹ごしらえは、山本能楽堂近くにあるカレー屋「スパイスカリー バビルの
塔」さんであいがけあいめしカリーをいただきました(谷四はカレー屋激戦区です)。
今日のカリーは、肉カリーがマトンで豆カリーが焼き豆腐とターサイでした。どちら
のカリーもめちゃ美味しかったんですが、個人的には豆の方が複雑な風味で好き
なカレーでした。
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