森山大道写真展－ＯＮ ＴＨＥ ＲＯＡＤ－

今日は、国立国際美術館で開催中の「森山大道写真展－ＯＮ ＴＨＥ
ＲＯＡＤ－」を見に行ってきました。
  
大阪池田生まれの森山大道氏が写真家を志し上京して５０年、故郷
の大阪で大きな展覧会をしていなかったということで、今回、初期の
代表作から最新の作品まで５００点近い写真を展示する大きな個展
になったそうです。
 
東京での膨大な路上スナップ写真と“アレ・ブレ・ボケ”で有名な森山
氏、今日は、ご本人がギャラリートークと言うことで、時代を追いなが
ら作品の解説をしてくれました。（お陰で会場内混みまくってました！）

先ずは、「にっぽん劇場写真帖」の解説だったんですが、人が多くて
展示スペースに入れず、「大衆演劇を追いかけて云々」と言う漏れ聞
こえる声の端々を聞きながら、次に移動するであろう「狩人・写真よさ
ようなら」の展示スペースに移動して待つ。
前の解説が終わって移動してきた森山氏が目の前に止まって「狩人」
の解説がはじまり、ポスターや雑誌の印刷物すら日常の風景の中に
あるものだから、路上でのスナップと区別無く撮りまくった話。
次は、仕事に追われ自分の写真とは何かを迷い、印刷物の写真や
フイルムの巻き始めでシャッターを押した時に撮れるショットに価値
があるのではと思った「写真よさようなら」の頃の心情などを語ってく
れました。
この頃の代表作“野良犬”は、朝、ホテルを出たときに目の前にいた
から撮ったそうで、スナップは出会いが大切ってことだそうです。
それから２年カメラすら持てなくなり、苦しみながらも自分の写真の
あり方を模索し、少し都会を離れて日本の原風景を追いかけた「遠
野物語」、フィルム上で隣り合った一見関係性の無い写真を同時に
プリントすることで物語性が出る面白さに気付いたそうです。
８０年代もあまり写真が撮れず、荒木経惟さんなどが過激な写真を
発表して話題になっていた、「写真時代」だけに発表していたそうで、
その頃の写真が「光と影」だそうです。（因みに、私が大好きな赤瀬
川さんのトマソンもこの雑誌の連載です。）
９０年代以降は、展覧会用の大きなプリントが増え、カラー作品（こ
の頃は雑誌の依頼で撮っただけで自分で積極的に撮ったカラー写
真は無いそうです。）なども撮ったりしながら、「新宿」を中心にライ
フワークである東京の写真を撮りまくり、最新の「東京」と言う作品
群は、コンパクトデジカメで撮影しているそうで、カラープリントの平
坦な感じと強いコントラストが気に入っているなんて話で、１時間半
以上に渡るギャラリートークの終了と相成りました。

兎に角、楽しい時間でした。作品も森山さんも最高でした。

地下３階の森山氏の展覧会の上では、桑山忠明氏の会場全体を
使ったインスタレーション「ＷＨＩＴＥ 桑山忠明 大阪プロジェクト」と、
河原氏や草間さんやイサム・ノグチ氏の作品を展示した「アメリカで
活躍した日本の作家たち」と言うコレクション展が開催中だったので、
そちらも拝見。
  
桑山氏のインスタレーションは、白い紙テープを巻きつけたがキャン
バスが整然と並ぶ静寂の空間が作られており、なんとも不思議な雰
囲気を漂わせていました。

展覧会の前に、先ずは腹ごしらえ。暑い！暑い時はウナギかな？
って感じで、新梅田食堂街にあるうなぎ屋「菱竹」さんでサービスの
うな丼をいただきました♪
  
お手頃のサービスなので、うなぎはちょこっとでしたが、さっぱり関東
風で美味い！

暑い時のうなぎではないですが、今日は、半夏生（はんげしょう）って
ことで、関西では蛸を食べる日だそうです。
  
残念ながら蛸は食べなかったんですが、蛸にまつわる碑だけでも・・。

コメント 2

私はどうも人混みや行列は苦手なので、
この状況ではやはり敬遠してしまうでしょうね。
デジタルのみとなってしまって、
フィルムの巻き始めの心持ちというのをいつしか忘れてました。
下の運河の写真、
モノトーンかとも思えるアンダー寄りの運河やビル街に、
船の屋根の黄色が映えていて良いですね。
by shibu (2011-07-04 14:02) 

♪shibuさん
人の多さにちょっとビックリしましたが、話は面白かったです。
森山氏も今はリコーのコンデジで撮りまくってるみたいです。
by kengo (2011-07-04 20:57)