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せいこうさんのトーク最高! [美術館]

曇天模様で昼過ぎから雨が降りだした本日は、京阪電車の
なにわ橋駅にあるアートエリアB1で開催していた鉄道芸
術祭vol.9“都市の身体”のクロージング・トークセッショ
ン「いとうせいこうとめぐる都市の身体」を聴きに行って
きました。
IMG_1943.JPG 
この展示自体は秋に見てたんですが、いとうせいこうさん
がどんな切り口で、この展覧会を語るのかを聞きたくて足
を運んだ次第です。

受付の少し前に会場に行って再度作品を見ていたら、ちょ
うどいとうせいこうさんが主催者の方々や作家さんから作
品の解説を聞いているところに遭遇。
IMG_1951.JPG 
そうこうしている内に受付が開始され、適当に椅子に陣取
って、三々五々作品を見たりのんびり座っていたりでトー
クセッション開始までの時間つぶすことしばし。
時間になって、いとうせいこうさんと今回展示している作
家の武田晋一さんと小沢裕子さん、それに主催者の木ノ下
智恵子さん、久保田テツさん、塚原悠也さんが登壇し、軽
いあいさつの後、前半は作品を見なが作家さんが作品を解
説し、隣でいとうさんが突っ込みを入れながら深堀りして
いくような感じで進みました。

後半は、席に戻ってスライドで作家さんの過去の作品も見
ながら、いとうさんが作家さん自身についてさらに深堀る
すると言う流れ。
先ずは、武田晋一さん。今回の作品もそうですが、とにか
く展示会場まで作品を自分で背負って運ぶと言う行為も含
めて作品になっているってことで、木の箱みたいなモノを
背負って運んでいる写真とそれを広げた写真が続き、いと
うさんも段々面白くなってきて突っ込みを入れると、武田
さんは自己表現として作品は制作しつつも、大前提として
公共交通機関で運ぶてことにこだわっているために、車内
や機内に持ち込めるサイズの制約の中に収めるため、大き
な物は入れ子構造などを駆使していたり、かなり面白い人
だということが浮き彫りになってました。
IMG_1946.JPG 
また、武田さんは、運ぶと言うこだわりから、植物(特に
雑草)の移動について考える作品も作っていて、同じく植
物好きのいとうさん曰く、動物の視点で見て、個体とおぼ
しき物が動かないから植物は動かないと思ってるけど、種
(クローン)と言う単位で考えたら距離どころか時間をも
超えて移動をしているし、最新の研究では、根がタップ音
を出したり、危険が迫ると香りを出すなどしてコミュニケ
ーションをとっている可能性があることも分かってきてい
るなど、興味深い話も聞けました。(運びネタで、いとう
さんがみうらじゅんさんと中国に行った時、ゴム蛇を集め
ているみうらさんが大きな木彫りの蛇を買って飛行機に持
ち込もうとしたら止められた話なども聞かせてくれました)

次は小沢裕子さん。小沢さんの作品は浪曲石松三十石船道
中を5ヶ国の方々が耳コピで伝言ゲームをする映像作品と、
文楽に触発されて作ったと言う、日本語の話せない外国の
方2人のバックに日本語教室の先生が付いて、先生の言う
通りの日本語を耳で聞いた通りにしゃべって会話をすると
いう映像作品。また、学生の時に作った作品は、ネットや
などから無作為に取ってきたセリフを、小沢さん本人の口
パク映像にのせると言うもの。
IMG_1944.JPG 
日ごろ、自分の意思で言葉をしゃべって生きていると思っ
ているけど、今、口から出た言葉は過去に誰かがしゃべっ
た言葉を再生しているだけではないか?言葉を人から離し
たらどうあるのか?なのが残るのか?と言うテーマで制作
をしていて、原点として、痛みを言葉で言い表すことが難
しく、なんとか言葉で表現ができないかと言う想いから言
葉にこだわっているそうです。
いとうさんも言葉の人なので、この辺りは非常に共感して
いるようで、いとうさん曰く、言葉の前に歌があり、そこ
からメロディが外れて言葉になったと思っていて、単語と
単語をつなぐ音みたいなものを探るために、音に感情をの
せる芸能として大阪まで浄瑠璃を習いに来ているそうです
(文楽の解説もしてくれて、三味線や太夫や人形が無理に
合わせようとするのは格好悪いので微妙にずらして、それ
ぞれ自由にやりながらもここぞというところでピタッと合
う格好良さと心地良さが、見どころ聞きどころって感じで
伝えてくれてました)。
最近は能にもはまっていて、安田登さんに謡を習っている
そうで、能の解説もしてくれ、能の謡もけっこう個々ばら
ばらで自由な音で歌っているけど、それが合わさった時に
個々を離れた得も言われぬメロディが生まれるそうです。

言葉にならないアーティストさんの想いや無意識にやって
いることを絶妙に引き出して言語化しつつ、笑いも交えた
例え話で聴衆にわかりやすく伝えるながらも、話を高次元
に持っていく、いとうせいこうさんのトークは圧巻でした。
みうらさんとのエピソードも端々に交えて、めちゃくちゃ
面白いトークセッション。2時間ほどでしたが、あっと言
う間の楽しいひと時でした。
私の今年のアートめぐりの締めくくりにもふさわしいクロ
ージング・トークセッションでした。
ありがとうございました。

トークセッション前の腹ごしらえは、西天満にある洋食屋
「ちーず亭」さんでビフカツをいただきました。
IMG_1938.JPG IMG_1937.JPG 
深みはあるけどあっさりした味付けで美味しかったです。

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