夏の文楽

連日の暑さにバテ気味ですが、今日は、国立文楽劇場に「国立文楽劇場開場30
周年記念 夏休み文楽特別公演 第２部【名作劇場】」を観に行ってきました。
 
第２部の【名作劇場】は近松門左衛門没後290年の作品、「平家女護島」と「鑓の
権三重帷子」の2作。
 
先ずは、「平家女護島」の“鬼界が島の段”。歌舞伎の“俊寛”でお馴染みの作品
です。それこそ、歌舞伎ではよく観ている“俊寛”なんですが、文楽で観たことあっ
たけ？と思って今回、観てみようと思った次第です。
浄瑠璃は千歳大夫さんに三味線は清介さん。物語は、鬼界が島に流罪になって
いる俊寛（玉女さん）、成経（勘彌さん）、康頼（玉志さん）の登場からはじまり、自
分らの境遇を嘆く3人。そんな中、成経が島の海女の千鳥（簑助さん）と恋仲にな
っているという話になり、壺だ赤貝だとかキワドイ台詞で恋の顛末を語ると、俊寛
も嬉しがり、祝言をあげようと鮑の貝殻で三々九度をやっていると、ご赦免船が
現れ、妹尾太郎（玉也さん）と丹左衛門（紋壽さん）が降り立つ。すったもんだの
末、3人は船に乗ることになるが、千鳥の乗船は許されない。妹尾太郎から妻の
死を知らされた俊寛は、自分が犠牲になろうと邪魔な妹尾太郎を殺して島に残り、
3人を送り出すって話です。
俊寛が妹尾太郎を殺すシーンと俊寛が船を見送るために岩山へ登るシーンは、
生身の歌舞伎よりも生々しさを感じました。最後に俊寛の登った岩山が回転す
る仕掛けは迫力です！

次は、映画にもなった「鑓の権三重帷子」。浜の宮馬場の段は、太夫さんがずら
りと並ぶ掛け合いで進行し、主人公である鑓の名手笹野権三（勘十郎さん）の乗
馬を見に来たお雪（文昇さん）が、乳母（勘彌）とともに権三に結婚を迫る場面。
そこへ、お雪の兄で権三のライバルでもある川側伴之丞（玉輝さん）が馬で現れ、
乗馬の勝負を吹っ掛けるが、伴之丞が落馬して権三が勝利する。
浅香市之進留守宅の段は、津駒大夫さんの浄瑠璃と寛治さんの三味線に寛太
郎くんの琴。権三のお茶の師匠である浅香市之進（玉女さん）の妻おさゐ（文雀
さん）が、権三を娘の婿にして茶道の秘伝を伝えようと画策するが、権三がお雪
とただならぬ仲だと聞いて嫉妬に狂う！娘の幸せのためと言いながらおさゐの
女の部分がメラメラと燃えている感じが良いです。
数寄屋の段は、呂勢大夫さんと藤蔵で、おさゐが権三に秘伝の巻物を読ませて
やるからと夜中に数寄屋に呼び出し、秘伝の書を読まそうとするが、お雪から贈
られた帯を締めてきた権三に、おさゐの嫉妬が爆発し帯を解いて自分の帯と変
えるように迫り、争っているところを、夜這いに来た伴之丞に見つかり不義の疑
いをかけられ、2人で逃走する破目に！
伏見京橋妻敵討の段も、太夫さんがずらりと並ぶ掛け合いでの進行だったんで
すが、三味線に錦糸さんの姿！華やかな盆踊りの中、伏見京橋のたもとで浅香
市之進が権三とおさゐを討つ場面なんですが、なんとなくあっさり終わった感じ。
頼りない色男と勝気な女が状況の歯車が狂って心ならずも落ちていくという近松
節の不条理観。嫌いじゃないけど、見終わったときに、なんだかモヤっとした感じ
が胸に残るんですよね。。。

いつも文楽を一緒に観に行くメンバーさんたちは、3部の女殺油地獄を観に行か
れましたので、今回は、単独行動です。

第１部は【親子劇場】と題して、小佐田定雄さん作の「かみなり太鼓」と「西遊記」
が上演され。第３部は、【サマーレイトショー】で、こちらも近松の「女殺油地獄」と、
大人から子供まで楽しめる演目がそろっています。夏休みお子さんと一緒や会
社帰りの夕涼みで文楽なんてのも一興かなと思います。お気が向いたら、劇場
に足を運んでみてください。楽しいですよ。

観劇前の腹ごしらえは、京阪百貨店でやっている「東北6県うまいものと工芸展」
で、岩手県盛岡の「ぴょんぴょん舎」さんの“盛岡冷麵”、秋田県横手の「あつあ
つ亭」さんの“横手焼きそば”、宮城県石巻の「風月堂」さんの“ずんだもち”をい
ただきました。
  
 
さすがに、いっぺんに食べたわけではないですが、シコシコでコシの強い冷麵、
モチモチ太麺の焼きそば、ツブツブ感がたまらないずんだもち、どれもめちゃ美
味しかったです。風月堂さんは、変り種アイスが有名で色々置いてありましたが
今回はずんだもちにしました。