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師走のぽかぽか京都で展覧会めぐり [美術館]

秋の京都、色々気になる展覧会はありましたが、紅葉の時期
の京都には足が向かず二の足を踏んでましたが、さすがに師
走だし紅葉のピークも過ぎただろうと言うことと観た展覧会
も今日までってことで、ポカポカ陽気で師走とは思えない京
都に行ってきました。

先ずは、京都国立近代美術館で今日まで開催していた「円山
応挙から近代京都画壇へ」。
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夏の終わり、逸翁美術館に呉春を観に行った折に拝聴したト
ークイベントで、京都国立近代美術館の学芸員平井啓修さん
が、この展覧会開催に至る苦労話や見どころを話されていた
のを聞いて、是非観たいと思っていた展覧会でした。
京都にあるにもかかわらず国立の近代と銘打った美術館で応
挙をやるというのはけっこうハードルが高いらしく、近代に
つながると言う文脈に乗せて待望の開催となったそうです。

会場に入ると、応挙寺として名高い兵庫・大乗寺の襖絵“松
に孔雀図”、“郭子儀図”、“ 山水図”、“蓮池図”が再現展示さ
れ、その迫力と美しさに圧倒されました。
これ以降、応挙の“牡丹孔雀図”、“楚蓮香図”、“春秋瀑布図”、
“嵐山春暁図”、“大石良雄図”などを紹介しつつ、同時代の蕪
村や呉春や芦雪、そして近代につながる流れで森狙仙、竹内
栖鳳、上村松園などなどを並べて展示するというスタイルで、
京都画壇の系譜が網羅的に紹介されていました。とは言えや
っぱり応挙をやりたかったんだなって空気がひしひしと伝わ
ってきました。
中でも、応挙が亡くなる1ヶ月前に描いたと言われる絶筆の
“保津川図屏風”は素晴らしかったです。

次も大好きで是非観に行きたいと思っていた細見美術館でや
っている「琳派展21 没後200年 中村芳中」を拝見。
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中村芳中は、江戸後期に関西を中心に活躍した琳派の絵師で、
琳派の技術の中でも“たらし込み”を多用し、文人画や禅画の
ような雰囲気も漂いつつ、動植物人間までも徹底的に簡略化
しデザイン画のような風情の絵を描いた人で、言うところの
カワイイ作品が多数展示してありました。
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丸にチョンくらい簡略されているけど見事に草花の特徴をと
らえた“十二ヶ月花卉図押絵貼?風”や“扇面貼交?風”、大津絵
風の“鬼の念仏”、楽しく語らっているような“六歌仙図”、20
0枚以上あると言う“円形絵”、波に千鳥やころころとした子
犬が描かれた“光琳画譜”などなど、ほっこり癒される楽しい
ひと時でした。

そして、冬の京都とは思えないくらいぽかぽか陽気の中、て
くてく歩いて京都府京都文化博物館で開催している「みんな
のミュシャ ミュシャからマンガへ 線の魔術 」も覗いてみま
した。
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大阪の堺市には堺アルフォンス・ミュシャ館もあるって事で、
けっこう身近な感じで絵としても好きなミュシャでした。が、
2年前、国立新美術館で壮絶なスラヴ叙事詩を観てミュシャ
=アール・ヌーヴォー=おしゃれ的なイメージが吹っ飛んで
重厚な印象になってました。そんなミュシャですが、今回は、
サラ・ベルナールの芝居のポスターなどミュシャがパリ活躍
していたころのこれぞミュシャって感じの作品が多数展示し
てあり、デザイン的な側面のミュシャからの系譜と言う感じ
で、サイケデリックなレコード・ジャケットやピンクフロイ
ドのポスター、藤島武二デザインの与謝野晶子のみだれ髪、
漫画家山岸涼子さんのアラベスクや日出処の天子、イラスト
レーター天野喜孝さんのファイナルファンタジーや出渕裕さ
んのロードス島戦記などなどミュシャの影響を受けたという
作品や作家さんも多数紹介してあり、非常に面白かったです。
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そんなこんなので200点ほどの作品を観て、改めて思ったの
は、ミュシャの描く女性の曲線はエロくて素敵です。

京都府京都文化博物館に行ったので六角堂(紫雲山頂法寺)
に参拝し、近くにあるギャラリー“Gallery PARC”さんでや
っていた「山下和也個展 私たち」を覗いてみました。
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山下和也さんは、日本画家でありながら国宝が直せる東洋絵
画修理技術者と言う肩書を持つ方で、日本・中国の古典絵画
技術をベースに、南宋時代の罔両画(もうりょうが)と言う
極端に薄い墨で描く技法で松林や須磨の海などを描いてらっ
しゃいました。
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紙は種類や厚さなどで墨の発色(薄い紙の方が墨が鮮やかに
発色し厚いとくすむそうです)やにじみが変わるそうで、そ
れぞれ特徴的な紙に薄く描いた絵を貼り合わせることで1枚
の紙では出せないような表現をしてるということでした。
墨と紙の関係も奥が深いですね。

冬の京都っぽいモノを食べようかとも思ったんですが、ぽか
ぽか陽気の中を歩いてたらそんな気もすっかり無くなって、
「イノダコーヒ 本店」さんでイタリアンをすすりました。
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もちもち極太の麺にからんだ少し甘めのケチャップ風味の
イタリアン。安定した美味さです。

京都感があるかどうかはともかく、せっかく冬に京都に来た
ので、なにか温かいモノでも食べて帰ろうと「梅園」さんで
名物のあわぜんざいを頬張りました。
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上品な甘さで滑らかツヤツヤのこし餡と粒感のある粟もちの
組み合わせが絶品です。

京都国立近代美術館に行ったついでに、2020年3月21日に
リニューアルオープンする「京都市京セラ美術館」の外観を
眺めさせてもらいました。
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建築家青木淳さんと西澤徹夫さんによるリノベーションは、
上物はほぼそのままに地下に近代的な雰囲気の入口が設置
されてような感じです。オープンが楽しみですね。
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北西エントランス1階では、鬼頭健吾さんのインスタレーシ
ョン“ghost flowers”の制作が行われていました。

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