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地蔵と地獄と狂言 [観劇(他)]

薄曇りの今日は、池田の逸翁美術館に「地蔵と
地獄」展を見に行き、そこから宝塚経由で西宮
北口に移動して、兵庫県立芸術文化センターの
中ホールで「春爛漫 茂山狂言会 お豆腐狂言会」
を楽しみました。

先ず、逸翁美術館で開催中の「地蔵と地獄」展。
地蔵と地獄.jpg 
展示室に入ると、地蔵尊と十王が細密に描かれ
た重要文化財の“地蔵十王像”が目に飛び込んん
できます。罪状?の書かれた巻物を読む役人と
議論を交わしている風の左右5人づつ描かれた
十王、中央で悠然と眺める地蔵尊って感じで、
仏教画にしてはドラマチックな雰囲気の作品で
した。
曼荼羅に書かれている仏の解説書“十巻抄(重
要文化財)”の巻五に描かれた地蔵菩薩。中性
的で少し色気のある“地蔵菩薩像”。

次は、十王のコーナー。十王の信仰は、仏教の
四九日、儒教の百日忌・一周忌・三回忌、道教
の冥府思想が習合し生まれたそうです。
小ぶりだけど迫力のある“十王坐像”。後に閻魔
様につながるとは思えないくらい美しい顔立ち
の“十二天像 焔魔天”と、これは閻魔様になるな
って感じの白描の“十二天図像 焔魔天”。4幅の
“十王図”は、それぞれん十王の下に火車に追わ
れる人、虎に食われる人、釜で茹でられる人々、
阿修羅の世界が描かれ、 一枚に十王が描かれた
“十王図”も下半分は地獄絵で壮絶でした。

そして、地獄のコーナー(十王のコーナーも十
分地獄でしたが・・)。
“六道絵(文政本)”から天道図、生老病死を描
いた人道苦相図1、餓鬼道図、燃え盛る等活地
獄図、スケベが落ちる衆合地獄図。  
金剛寺(矢田寺)の満米上人が閻魔様(地蔵尊)
に招かれて地獄めぐりをしている絵巻“矢田地
蔵縁起絵巻”。“泣不動縁起絵(断簡)”も飾って
ありました。

茶室の設えには、“地蔵堂風炉釜”や尾形乾山が
写した一杯飲んで寝るのが極楽なりと書かれた
“一休偈”が飾ってありました。 
他に浮世絵の“絵本合法衢”や“一休地獄噺”、イ
ラスト付きの往生要集の本も並んでいてなかな
か面白かったです。

次は、屋根の無い能舞台を2階席から眺めた
「春爛漫 茂山狂言会 お豆腐狂言会」。
春爛漫お豆腐狂言.jpg 
番組は、茂山逸平さんの解説に続き“木六駄”、
人間国宝に認定された茂山七五三さんが座頭を
演じる“月見座頭”、今の季節の“花折”。雪月花
に酒と言うテーマの番組でした。

“木六駄”は、太郎冠者(千五郎さん)が主人
(竜正さん)の命を受け、伯父(宗彦さん)の
ところに、木六駄と墨六駄に酒樽を届ける道中
で立ち寄った茶屋の主人(茂さん)と意気投合
し酒樽を飲みかわし、気が大きくなって木六駄
も渡して、墨だけ持って伯父にとろろ到着した
が・・・と言う話。
牛12頭を引き連れてる風情が見どころって事
でした(逸平さん曰く)

“月見座頭”は、座頭(七五三さん)が中秋の名
月の元、月は見えないけど虫の音を楽しもうと
野辺に出向くと、月を眺めに来た上京の男(千
之丞さん)と出会い、意気投合して酒宴をはじ
め、舞など舞って楽しんだ後、何故か上京の男
が、悪戯っぽく声色を変えて座頭に喧嘩をふっ
かけ杖を奪って引きづり回すと言う話。
今の感覚で見ると(逸平さんの解説曰く、座頭は
その当時、特権階級の人だったと言う時代背景
をさっ引いたとしても)、最後はちょっと引いて
しまいました。。。

“花折”は、住持(あきらさん)から、桜の季節に
寺の庭の桜が荒らされるので、今年は花見禁止に
すると告げられた新発意(逸平さん)。
寺に入るのを断ったら花見の衆(宗彦さん、虎真
さん、島田洋海さん、山下守之さん、井口竜也さ
ん、鈴木実さん)が門前で酒宴をはじめ、酒を飲
みたい新発意は花見の衆を寺に入れ酒宴に参加、
酩酊して桜の枝を折って客に渡すと言う話。
酔ってゆく新発意が面白い!桜を荒らしていたの
は新発意?笑

現代のコンプラ感覚で少し引いたのもありました
が、三つとも大ネタで、めちゃ面白かったです。

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