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春の文楽 [文楽]

昼前からシトシトと冷たい雨が降っていた花冷えの
日曜日。この雨で満開の桜も散るな~!なんて思い
ながら、今日は、いつもの文楽鑑賞仲間の方々と国
立文楽劇場に「豊竹咲太夫文化功労者顕彰記念 文楽
座命名百五十年 令和四年 四月文楽公演 第2部」を
観に行ってきました。
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第2部の演目は、摂州合邦辻の〝万代池の段”と、
〝合邦住家の段”でした。
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万代池の段の浄瑠璃は、三輪太夫さん、希太夫さん、
南都太夫さん、津國太夫さん、咲寿太夫さんの掛け
合いに三味線は清友さんとツレで清方さんでした。
継母である玉手御前(和生さん)に毒酒を飲まされ、
ハンセン病を発症して視力も失い、家を出た俊徳丸
(玉佳さん)が、万代池のほとりにむしろ小屋を建
てて暮らしている。
そのむしろ小屋の近くでは、閻魔堂建立の勧進(資
金集め)ために合邦道心(玉也さん)が聴衆を集め
て言葉巧みに辻説法を行っていた。
そんな折、家来の入平(玉勢さん)をお供に俊徳丸
を探している許嫁の浅香姫(紋臣さん)が落ちぶれ
た俊徳丸を遭遇。そこに俊徳丸の別腹の兄である次
郎丸(亀次さん)がやってきて、浅香姫を連れ去ろ
うとするが、合邦道心に邪魔される。

次の合邦住家の段の浄瑠璃は、睦太夫さんと清馗さ
ん、呂勢太夫さんと清治さん、切りは呂太夫さんと
清介さんでした。
俊徳丸と浅香姫をかくまっている合邦と女房(勘壽
さん)は、檀家を集めて、主人を裏切った合邦の娘
でもある玉手御前が、すでに殺されているだろうと
思って回向を行っている。
そこに玉手御前が現れ、俊徳丸を醜い姿にしたら許
嫁の浅香姫も愛想をつかすだろうと思って毒をもっ
たと告白し、俊徳丸と添い遂げたいと言い寄る姿に
激怒した父合邦が玉手御前に刀を突きさすと(死に
そうになってからが長いんですが・・)、俊徳丸を
救うためにやったんだと真相を打ち明けて、寅の年
月日刻の自分の血で俊徳丸の病を治せると言って自
ら腹をえぐって絶命し、めでたしめでたしと言う話。

陰惨で不条理の物語の端々で、玉手御前が浅香姫に
蹴りを入れたり、玉手御前の腹をえぐる手伝いをし
てくれと急にフラれた入平が、イヤイヤなんで私で
すのん!って感じで慌てて断ったりと、ちょっと笑
いも有りつつの楽しいひと時でした。

余談ですが、万代池の段で、背景に四天王寺の五重
塔が描かれてましたが、万代池って帝塚山にあるの
で、けっこう離れている気がしますが、昔の人は、
四天王寺のちょっと隣りって感じの距離感だったん
ですかね?
現存と言えば、物語の中に出てくる、合邦辻閻魔堂
は一心寺の向かいにあって、玉手御前の供養に建て
ると言っていた月江寺も四天王寺の近くに在るみた
いです。
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文楽劇場前にある桜も満開に色づいて、春の公演に
色を添えていました。

文楽鑑賞前の腹ごしらえは、インバウンドが無くな
って、すっかり静かになった黒門市場にある洋食屋
「末廣軒」さんでハンバーグをいただきました。
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ちょっと甘めのデミグラスソースのかかったハンバ
ーグ美味しかったです。

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新春文楽 [文楽]

またまたコロナの感染急拡大って感じで、戦々恐々たる
雰囲気が漂いつつある今日この頃。嫌な感じですね。。。
コロナとは関係無いですが、今朝、トンガの海底噴火の
影響で日本にも津波が来て、〝空振(くうしん)”とか言
う初耳の言葉がニュースで飛び交ってました。曰く、噴
火時の空気の振動の影響で気圧が変化し、それによって
間を飛び越えて日本に津波が到達したそうです。
よそ事だと思っていたら我が身に降りかかる!世の中、
何が起こるか判らないですね。クワバラ、クワバラ。。。

そんなこんなの、今日は、国立文楽劇場に「令和四年 初春
文楽公演 第2部絵本太功記」の二条城配膳の段、夕顔棚の
段、尼ヶ崎の段を観に行ってきました。
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初春公演と言うことでお馴染みのにらみ鯛。寅の字は住吉
大社の宮司さんだそうです。
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先ずは、二条城配膳の段。浄瑠璃は、三輪太夫さん、津國
太夫さん、咲寿太夫さん、碩太夫さん、南都太夫さんに三
味線の勝平さん。
本能寺の変の前後と言う設定で、絢爛豪華な二条城の場面、
武智光秀(勘十郎さん)の謀反を疑ている尾田春長(文司
さん)が、森の蘭丸(簑太郎さん)をけしかけて、光秀の
本心を探ろうとするが、武智十次郎(玉佳さん)の前で、
森の蘭丸に鉄扇で打ち据えられ額を割られても我慢をする。
そりゃ殺されるは春長って感じです。

次の夕顔棚の段の浄瑠璃は藤太夫さんと團七さん。そして
尼ヶ崎の段は、呂勢太夫さんに清治さん、呂太夫さんに清
介さんの浄瑠璃を楽しみました。
こちらは本能寺の変の後、息子光秀が謀反を起こし主人春
長を殺すと言う不忠な事をやったことを憂いて光秀の母さ
つき(勘壽さん)は、都を離れ尼ヶ崎の鄙びた家に隠遁し
ている。そこに光秀の妻操(蓑二郎さん)と十次郎の許嫁
初菊(紋臣さん)と十次郎、それに旅僧実は真柴久吉(玉
助さん)が訪れる。
すったもんだの末に十次郎と初菊は三々九度を交わして夫
婦になって十次郎は初陣で戦に出かけていく。
真柴久吉が僧に化けて母さつきの家に潜伏していることを
察した光秀が竹やりで入浴中の久吉を刺し殺そうとするが、
息子の不忠を悔いていた母さつきが久吉の身代わりになて
刺される。母が瀕死な上に、戦いに出向いた息子十次郎が
敗走してこちらも瀕死の状態で家に戻るが、そんな2人を
横目に光秀は春長を殺した正当性をグダグダ語りながら、
庭の松に登って敵の船を確認するなど久吉との戦いのこと
で頭がいっぱい!
そんな中、久吉が家の中から登場し、山崎の天王山で決着
を付けようと約束して去ってく。丸顔の加藤正清(簑悠さ
ん)がカワイイ!笑

相変わらず文楽は不条理な展開です。太功記と言ってもこ
の段は武智光秀が主役です。とは言え太功記って感じで光
秀を良くは描いてないですね。
そんなこんなで楽しい文楽公演でした。チケットのご手配
など諸々ありがとうございました。
コロナが早く収まることを祈りつつ。。。

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秋の文楽 [文楽]

今日は、いつもの文楽鑑賞仲間の方々と国立文楽劇場に
「令和三年 錦秋文楽公演(第2部)」を観に行ってきま
した。
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第2部の演目は、ひらかな盛衰記から大津宿屋の段、笹
引の段、松右衛門内の段、逆櫓の段でした。(ちなみに
第3部で、続き(?)の辻法印の段と神崎揚屋の段が上
演されてました。)
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題目の〝ひらかな盛衰記”は、源平盛衰記をひらがなの
ように判りやすく読み解いたと言う意味だそうで、今回、
1階の展示室でひらがな盛衰記と源平盛衰記について、
江戸時代の本や浮世絵を使って詳しく解説してありまし
た。けっこう面白いです。
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ひらがな云々はともかく、先ずは、〝大津宿屋の段”で、
浄瑠璃は靖太夫さんと錦糸さんにツレの錦吾さんでした。
西国巡礼の旅をしている船頭権四郎(玉也さん)と娘
およし(勘彌さん)に孫の槌松(和馬さん)が、たまた
ま泊まった大津の宿屋で、義経に追い落とされた木曾義
仲の正室山吹御前(一輔さん)と息子駒若君(勘介さん)
に家来の鎌田隼人(玉輝さん)と腰元お箸(清十郎さん)
の泊まる部屋の向かいの部屋に通されたのが悲劇のはじ
まりで、夜中に鎌倉方の梶原景時の家来番場忠太(紋吉
さん)が詮議のために宿に踏み込む。

次の〝笹引の段”の浄瑠璃は咲太夫さんと燕三さん。燕三
さんの三味線は良いなと思いながら、話の流れは、大津
の宿屋でバタバタの中、歳近い槌松と駒若君を取り違え
て逃げ出してしまい、駒若君と間違えられた槌松と鎌田
隼人が追っ手に殺され、動転した山吹御前も亡くなり、
残された腰元お箸は笹に山吹御前の亡骸を乗せて運んで
いきます。

それから3年後を描いた〝松右衛門内の段”の浄瑠璃は、
芳穂太夫さんと勝平さんに呂太夫さんと清介さんでした。
摂津国の福島付近で船頭家業を営む権四郎は、家督を入
り婿の船頭松右衛門実は樋口次郎兼光(玉男さん)に譲
り、娘およしと一緒に槌松と取り違えた駒若君を大切に
育てていた。
そこに腰元お箸が訪ねてきて、槌松が殺されたことを伝
え、駒若君を返してくれと申し出るが、悲しむ2人に対
して死んだものはしょうがないよねみたいな事を口ばし
ったお箸に権四郎が激怒して、駒若君を殺すと言い出す。
奥の部屋から駒若君を抱えて松右衛門が登場し、自分は
実は樋口次郎兼光と言う義仲の家来で四天王と言われた
武士である旨を明かし、何故か権四郎とおよしは納得し
てしまう。

最後は〝逆櫓の段”で浄瑠璃は睦太夫さんと清志郎さん
でした。樋口は船頭松右衛門と名乗り、逆櫓と言う技術
を身に着けて、義経近くに使えて義経を討つつもりでい
たが、景時にばれていて、3人の船頭、又六(文哉さん)
、富蔵(紋秀さん)、九郎(玉誉さん)が練習と偽って
樋口を討とうとするが、逆に返り討ちにあってしまう、
そこに鎌倉方の畠山庄司重忠(玉志さん)が現れ、駒若
君を救おうとする権四郎の機転に気づいた樋口は抵抗を
せずに縄にかかると言う話です。
スピーディーな展開と清志郎さんの早弾きの三味線が相
まって心地良い緊張感に包まれた舞台でした。

逆櫓の松は、福島の朝日放送の近くに碑が立ってます。
いつもながら不条理な展開だったりもしましたが、面白
い舞台でした。コロナ禍での上演は大変だと思います。
ありがとうございました。

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コロナとオリンピックを横目に夏の文楽 [文楽]

かたわらではオリンピックもやっていて、コロナ感染の
急増で明日から大阪も緊急事態宣言と言う状況ではあり
ますが、今日は、国立文楽劇場でやっている「令和3年
夏休み文楽特別公演 第2部【名作劇場】生写朝顔話(し
ょううつしあさがおばなし)」を、いつもの文楽観劇仲
間の方々と観に行ってきました。と言っても直行直帰で
席も散ってたので、同じ演目を観たってだけだったりも
しますが、同じ時間を共有すると言うだけでも、それは
それで楽しいものですね。
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そして、図らずも今回観た演目は、先ごろ、重要無形文
化財保持者(人間国宝)に認定された、人形遣いの桐竹
勘十郎さんが、主役の朝顔(深雪)役で出演されていて、
それこそたっぷり勘十郎さんの人形を堪能させてもらい
ました。
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先ずは、“明石浦船別れの段”で、浄瑠璃は呂勢太夫さん
に清治さんと御簾内で琴の清公さん。
月夜の明石の浦で風待ちをしている大きな船のかたわら
を小舟に乗った西国の大名の家臣宮城阿曾次郎(和生さ
ん)が通りかかると、その大きな船に京都宇治の地で恋
仲になったが、諸々の事情で別れることになった安芸の
国の家老の娘深雪(勘十郎さん)か乗り合わせていて、
阿曾次郎の乗る小舟に乗り込んできて再会を果たす。深
雪は、このまま一緒に連れて行ってとせがむが、親御さ
んも心配だろうから一筆書置きでも書いた方がよいと諭
され船に戻った時、ちょうどその時風が吹き出して船が
出港。深雪は朝顔の扇を阿曾次郎の乗る小舟に投げ込ん
で、また、別れ離れになってしまう。

次の“薬売りの段”の浄瑠璃は希太夫さんと勝平さん。
この後の段で使うことになる笑い薬を、嶋田宿の宿屋の
主人戎屋徳右衛門(勘壽さん)が、旅の薬売り立花桂庵
(簑一郎さん)から買う場面。
放送禁止用語と言うか、今では公共の場では使えないよ
うな言葉がてんこ盛りで出てくる段です!ある意味でち
ょっとドキドキ!

そして、“浜松小屋の段”の浄瑠璃は、呂太夫さんと清介
さん。
明石で恋しい阿曾次郎と別れ離れになった深雪は、いっ
たん家に戻るが、親の進める結婚話から逃げ、阿曾次郎
を追って家出をしてしまう。阿曾次郎とは再開ができず、
泣き過ぎて失明をしてしまい。今は、浜松で阿曾次郎が
創ってくれた朝顔の歌を詠う乞食の瞽女(ごぜ)に身を
やつしていた。そこに深雪を探して巡礼の旅をしている
乳母の浅香(勘彌さん)が訪れ、無事、再会するが、人
買いの輪抜吉兵衛(簑紫郎さん)に邪魔され、浅香は仕
込み杖の刀で応戦、吉兵衛を倒すが自分も深手をおって
しまい、肩身の脇差を渡して嶋田宿に向かうように告げ
る。(2015年の同じ夏の文楽では、宇治の場面からこ
こまで見てました。)

陰惨な雰囲気になってきたんですが、次の“嶋田宿笑い
薬の段”は、息抜きのお笑い場面って感じで、それこそ
医師の萩の祐仙(簑二郎さん)が笑い薬を飲んでひた
すら笑い転げると言う話です。
浄瑠璃の中は南都太夫さんと清馗さんで、奥は咲太夫
さんと燕三さんでした。
阿曾次郎は伯父の家督を継いで駒沢次郎左衛門と改名
し旅の途中、嶋田宿に泊まることになったが、一緒に
旅をしている政敵の岩代多喜太(玉輝さん)が、駒沢
の暗殺を企て、医師の萩の祐仙に命じて痺れ薬の入っ
た茶を駒沢に飲ませようとするが、宿屋の徳右衛門の
機転で笑い薬にすり替えられ、毒味をした祐仙が笑い
転げて陰謀は失敗に終わる。後半は延々と祐仙が笑っ
ている場面です!

次の“宿屋の段”の浄瑠璃は千歳太夫さんと富助さんに
琴の燕二郎さん。
部屋の衝立に自分が深雪に贈った朝顔の歌が書いてあ
る扇面を見つけ、徳右衛門から朝顔の話を聞いた駒沢
は、深雪ではないかと思い朝顔を呼び寄せ、朝顔の歌
と共に琴を弾いてもらい朝顔が深雪だと気づくが、岩
代の前で名乗ることができず、盲目の深雪も駒沢の声
が阿曾次郎に似てるなと思いながら帰っていく。朝顔
は次の仕事が終わった後、もしやと思い宿に戻ったが、
駒沢は既に旅立っていて、徳右衛門に、金と朝顔の扇
と甲子歳生まれの男性の生き血で飲むとどんな眼病で
も治るという薬を託していた。

最後の“大井川の段”の浄瑠璃は靖太夫さんと錦糸さん。
後を追った朝顔だったが、駒沢は大井川を渡った後で、
豪雨のため大井川は通行止めとなってしまう。深雪は
ここまですれ違うのは、きっと前世の因果で、現世で
は一緒になれないので来世で一緒になりたいと、大井
川を三途の川だと思って身を投げようとするが、徳右
衛門と浅香と共に深雪を探していた関助(玉勢さん)
が駆けつけ深雪を助ける。関助から浅香が夢枕で教え
てくれたと聞き、浅香から託された脇差を見せると、
実は徳右衛門は浅香の父だと名乗り、いきなり切腹を
する、慌てた深雪と関助が訳を聞くと、自分は甲子歳
生まれなので自分の生き血を使った薬で目を治してく
れと言って・・・と言う話。生き肝ならともかく生き
血だったら別に腹を切らなくてもと思いつつ終演とな
りました。

今回のメインは、もちろん人間国宝になった勘十郎さ
んでしたが、2部の名作劇場は三味線が豪華で、清治
さん、燕三さん、錦糸さんの三味線をたっぷり聴かせ
てもらいました。感謝です。
楽しいひと時でした。が、また、明日からしばらく緊
急事態で巣篭もり生活。お盆前には2回目のワクチン
接種も待ってます。

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簑助さんの引退興行 [文楽]

いよいよコロナ感染者が1000人/日を超える日々が続
いている大阪です。が、本日は、感染に気を付けながら
国立文楽劇場に「令和三年 四月文楽公演(第2部)」
を観に行ってきました。
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第2部の演目は、近松門左衛門作「国性爺合戦(こく
せんやかっせん)」の“平戸浜伝いより唐土船の段”、
“千里が竹虎狩りの段”、“楼門の段”、“甘輝館の段”、
“紅流しより獅子が城の段”でした。
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“平戸浜伝いより唐土船の段”の浄瑠璃は、希太夫さん、
小住太夫さん、津國太夫さん、南都太夫さん、咲寿太
夫さんと三味線が清志郎、清丈、清公。“千里が竹虎
狩りの段”の浄瑠璃は、最初御簾内から亘太夫さんと
三味線の清允さん、そして、奥は三輪太夫さんに三味
線の團七さん、團吾さん、錦吾さん。“楼門の段”の浄
瑠璃は、呂勢太夫さんと三味線が人間国宝の清治さん。
“甘輝館の段”の浄瑠璃は、呂太夫さんと清介さん。最
後の“紅流しより獅子が城の段”の浄瑠璃は、藤太夫さ
んと清友さん。

国性爺合戦は、中国での出来事を題材にした時代物で、
明国の旧臣だった鄭芝龍老一官(玉輝さん)は、政変
に敗れ2歳の娘を中国に残して日本に亡命し、長崎の
平戸で妻をめとり子供の和藤内(玉助さん)と、嫁の
小むつ(簑一郎さん)と漁を生業に暮らしていた。
が、ある日、明国の帝の妹栴檀皇女(清五郎さん)が
小舟で流れ着き、韃靼国の陰謀で明国が滅ぼされよう
としている旨を伝える。栴檀皇女を妻の小むつに預け、
和藤内は、父老一官と母(勘壽さん)ともに中国に渡
る(なんでお母さんがついてくるの?と不思議でした
が、最後にお母さんが大活躍しますと言うか、極論す
ればお母さんが主役です)。
中国に渡った3人ですが、3人で動いたら目立つと言う
ことで、和藤内と母、老一官の二手に別れて、残して
きた老一官の娘錦祥女の夫である五常軍甘輝(玉男さ
ん)に助けを求める目的で甘輝の城を目指します。
途中、千里が竹と言うところで虎に襲われますが、
伊勢の天照大御神のお札の威力で虎を手なずけ、虎
を追っていた韃靼国の兵士たちも服従させ家来にし
て甘輝の城に向かうんですが、この虎との決闘の場
面が秀逸で、串本の無量寺にある長沢芦雪の虎図に
そっくりな可愛くって大きな着ぐるみの虎が舞台狭
しと言うか床まで使って大暴れして大いに笑わせて
くれました。
虎までは、ユーモラスな雰囲気で話は展開しますが、
次の段の甘輝の城に3人が着いた辺りから展開が悲
劇の方向に一気に傾きます。
甘輝の城の楼門では、主人の甘輝が韃靼王に呼び出
され留守と言うことで、甘輝の妻であり老一官の娘
錦祥女(簑助さん)が応対し、男を門の中で入れる
わけにはいかないので、母だけ縛って城に入れ、甘
輝に助力を頼み承知してくれたら白粉、承知してく
れなかったら紅を川に流すと伝えます。
甘輝が帰ってきて事情を伝えると、助勢に応じるが
妻の錦祥女(簑助さんから交代して一輔さん)にほ
だされて助勢をしたと思われるのは恥なので錦祥女
を殺そうとするが、お母さんが止めに入り(手を縛
られているので、歯で着物の袖を噛んで引っ張り錦
祥女を助ける場面が壮絶です)、義娘を殺すのなら
助勢はいらないから2人の元に返してくれと頼み、
錦祥女は不承認の印の紅を川に流します。
その紅の流れを確認した和藤内は、単身、甘輝の館
に乗り込みますが、実は、紅の赤色は錦祥女の血で、
自害して甘輝に助勢を懇願し、それを見たお母さん
が娘だけ死なすわけにはいかないと喉を突き、折り
重なるように自害して、甘輝は和藤内を助勢するこ
とを決意し、和藤内は名を中国風に国性爺鄭成功と
改め、甘輝とともに韃靼王との戦いを決意すると言
う最後です。が、妻と母が瀕死の状態で苦しんでい
るのをほったらかしにして、2人していったん部屋
の奥に引っ込んで、豪華な衣装に着替えるってどう
よッ!と、思わず突っ込みを入れたくなる感じです。

不条理な展開はともかく、4月15日に人形遣いで人
間国宝の吉田簑助さんが四月公演の千秋楽をもって
引退すると発表され、奇しくも簑助さんが出演され
る第2部を選んだおかげで、簑助さんの見納めをす
ることができました。
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簑助さんは、齢87と言うご高齢な上、20年ほど前
に脳出血で倒れ、お身体がご不自由な中で、長らく
文楽を引っ張ってこられた方です。簑助さんが操る
女性の人形たちは、気品があって可愛くって、言い
古された表現ですが、それこそまるで生きているよ
うでした。
長い間、楽しませていただき、ありがとうございま
した。本当にご苦労様でした。

観劇した第2部の演目とは関係無いですが、第3部で
上演される“小鍛冶”と言う演目が、オンラインゲー
ムの刀剣乱舞に登場する“小狐丸”の誕生秘話と言う
ことで、コラボ企画として、刀剣乱舞の小狐丸を模
した小狐丸人形と、小狐丸のパネルが飾ってあり、
ファンと思しき方々が並んで記念撮影をしてました。
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きっかけは何でも良いので文楽を見に来てくれる方
が増えるのは、喜ばし事だと思います。

国立文楽劇場とは直接関係無いですが、文楽とのコ
ラボ企画と言えば、同じく第3部の演目“傾城阿波の
鳴門”に関して、いつも傾城阿波の鳴門を上演してい
る淡路島福良にある淡路人形座において、清川あさ
みさんプロデュースで、いとうせいこうさんが脚本
を務めた「戎舞+(プラス)」が上演されてます。
コロナ禍で県境をまたぐ移動を控えているので、今
は見に行けませんが、5月30日までやっているので、
コロナが少し落ち着いたら見に行きたいなと思って
ます、と言うか祈ってます。

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文楽人形になるのか森村さん! [文楽]

爽やかに晴れ渡ったに日曜日。そろそろピークは越えた
感じもありますが、花粉の季節は、晴れた日より雨の方
が体調が良かったりします。。。
だからって訳でもないですが、今日は、京阪電車なにわ
橋駅アートエリアB1で開催された、森村泰昌さんと桐竹
勘十郎さんの創作公演プロジェクト「人間浄瑠璃」の事
始めプレ企画のスペシャルトークをオンラインで拝聴し
ました。
人間浄瑠璃.jpg 
司会は、アートエリアB1のプロデューサーでもある大阪
大学准教授の木ノ下智恵子さん、主役は森村泰昌さんと
桐竹勘十郎さんで、ゲストとして演出家の平田オリザさん、
ロボット博士の石黒浩さんを迎え、「人間浄瑠璃」につい
て座談会形式でアイデア出しをすると言うトークイベント
でした。

そもそも人形浄瑠璃ではなく「人間浄瑠璃」とは何ぞやと
言うところから話が始まるんですが、発起人と言うか言い
出しっぺの森村さん曰く、北加賀屋にあるモリムラ@ミュ
ージアムの企画で勘十郎さんと対談をしようと言う話が出
て(この企画自体はコロナの影響で無くなったそうですが)、
昨年の春に打ち合わせをした折、森村さんがフッと頭に浮
かんで口にしたのが“人間浄瑠璃”と言う言葉で、変な顔は
しながらも勘十郎さんも乗ってきてくれたってことから話
がはじまり、今回、司会を務めている木ノ下さんに相談し
たところ、来年、公演をすると言う本格的な企画になった
そうです。
そんなこんなで“人間浄瑠璃”と言う器は出来たけど、なに
をどうやって進めたらよいものかと言うことから、今回、
ロボット演劇と言う実験的な公演をやっている平田オリザ
さんと石黒浩さんにも参加してもらい、アイデアを出して
ほしいと言う感じでした。

予定時間をオーバーし2時間半ほどの長丁場の話が繰り広
げられたんですが、実際にロボット演劇をやっている平田
さんと石黒さんからは、難しい点と面白い効果などが語
られ、勘十郎さんからは、文楽人形が三人遣いになった
歴史や技法などの話が出て、文楽が人形遣いが表に出る
世界でも希な人形劇の形態をとっていることや、三人遣
いの主(おも)遣いが、人形だけを操るのではなく、左遣
いと足遣いと言う人間もコントロールしているところか
ら、もしかしたら人間を人形のように操る演出も可能で
はないかと言う感じで、話が盛り上がっていました。

後半は、けっこう具体的な手法の話になってたってこと
もあって、文楽人形になって勘十郎さんに人間のように
操られる森村さんと石黒さんのアンドロイドが物語を繰
り広げたら面白そうだなと勝手な妄想が膨らむ、楽しい
トークイベントでした。

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初春の文楽 [文楽]

寒さが戻った感じの今日は、国立文楽劇場に「鶴澤清治
文化功労者顕彰記念令和3年初春文楽公演(第2部)」
を観に行ってきました。
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第2部の1幕目は、碁太平記白石噺(ごたいへいきしら
いしばなし)の浅草雷門の段と新吉原揚屋の段。
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浄瑠璃は、南都太夫さんに團吾さん、咲太夫さんと燕三
さん。そして、呂太夫さんと清介でした。(燕三さんの
三味線、久々に聞いた気がします。やっぱイイですね)
先ずは、浅草雷門の茶店の前で手品師のどじょう(勘市
さん)が、時事ネタや鬼滅の刃ネタなどの口上を交えな
がら手品を披露していると、吉原の遊郭の主人大黒屋惣
六(玉也さん)が待ち合わせで茶店を訪れ連れを待って
いると、悪徳金貸しの観九郎(玉勢さん)がどじょうに
貸した金を取り立てに現れる。
ちょうどそこに、巡礼姿の少女おのぶ(文昇さん)が奥
州から吉原にいる姉を探しにやってきて、観九郎に騙さ
れて、危うくかどわかされそうになるところを大黒屋惣
六に助けられる。と言うのが本筋の流れです。が、その
後が、この幕の見せ場って感じで、観九郎が大黒屋惣六
から受け取った五十両と証文を地蔵様に化けたどじょう
に巻き上げられると言う笑いの場面が展開します。観九
郎もただただ悪い奴でもなく親と子供を亡くしたばかり
と言う身の上で騙されると言う、ちょっと切ない場面だ
たりもします。
次は、新吉原揚屋の場面で、おのぶを助けた大黒屋惣六
の店にいる傾城宮城野(和生さん)がおのぶの姉で、お
のぶから父が殺され、母も病で亡くなった経緯を聞いた
宮城野が、曾我物語のように敵討ちを誓うが、大黒屋惣
六に諭されると言う話です。

2幕目は、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)道行
初音旅。
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浄瑠璃は、静御前に呂勢太夫さん、狐忠信に織太夫さん、
その他、靖太夫さん、咲寿太夫さん、亘太夫さん。そし
て、三味線は今公演の主役でもある鶴澤清治さんに清志
郎さん、清馗さん、友之助さん、清公さん、清允さんで、
ずらりと並んだ桜色と言うかピンクの裃が華やかでした。
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新春にお馴染みの演目で、静御前(一輔さん)がお供で
ある実は狐の忠信(玉助さん)をつれて桜満開の吉野山
にいる源義経を訪ねて行くと言う場面で、新春にふさわ
しい華やかでおめでたい雰囲気の舞台でした。
初音の鼓に張られている皮が狐忠信の両親の皮で両親恋
しさに静御前のお供をしていると言うちょっと切ない舞
踊でもあります。凛々しい忠信ですが、たまに足をバタ
バタさせるところが狐っぽくって笑えます。

舞台上部には睨み鯛が飾られお正月の風情でしたが、ソ
ーシャルディスタンスで、席は半分ほど和紙が貼られ、
いつもの文楽鑑賞のメンバーとも席がバラバラで、軽く
会釈する程度で年始の挨拶を済ませました。
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観劇後の食事会も無く、舞台が終わったらそそくさと家
路につきました。気兼ね無く観劇できる日が、早く訪れ
ることを願うのみです。

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久々の文楽 [文楽]

9ヶ月ぶりに国立文楽劇場での文楽公演が再開すると言う
ことで、今日は、いつもの文楽鑑賞仲間の方々と「令和二
年度 錦秋文楽公演」を観に行ってきました(席はバラバラ
でしたが・・・)。
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劇場に入る時の検温やアルコール消毒はもちろん、場内は
ソーシャルディスタンスの確保と言うことで、席は1席ご
とで、空席には艶やかな和柄の紙が貼ってあり、前の方か
ら振り返るとインスタレーションを見ているような独特の
風情でした。また、飛沫が飛ぶ可能性が高い太夫さんが浄
瑠璃を語る床の前のエリアはすべて空席にしてありました。
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そして拝見した演目は、第3部の「本朝廿四孝(ほんちょ
うにじゅうしこう)」で、道行似合の女夫丸、景勝上使の
段、十種香の段、鉄砲渡しの段、奥庭狐火の段です。
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先ず、道行似合の女夫丸。濡衣は睦太夫さんで勝頼は靖太
夫さん、他は亘太夫さん、碩太夫さん、清友さん、友之助
さん、錦吾さん、燕二郎さん、清方さんの掛け合いの浄瑠
璃でした。
簑作実は武田勝頼(玉助さん)と濡衣(簑二郎さん)が、
薬売りの姿で、紅葉とススキが揺れる秋の信濃路を旅する
場面。武田家の家宝で長尾(上杉)謙信(玉志さん)に借
りパクされている諏訪法性の兜を取り戻そうと諏訪にある
謙信の館に向かていると言う設定です。

次の景勝上使の段。浄瑠璃は希太夫さんと清丈さん。
物語全体の説明が無ければ、ここだけ見てもほぼ何のこと
やら判らないんですが、足利将軍暗殺の嫌疑が武田家と長
尾家にかけられていて、犯人を3年探しても見つけること
ができない時は、潔白の証に息子の首を差し出せと難題を
ふっかけられ、武田家は息子勝頼(身代わり)の首を差し
出したけど、長尾謙信は息子の首を出さないので、早く首
を持って来いと、何と謙信の息子で差し出す首の本人であ
る景勝(勘市さん)を謙信のところに催促に行かせると言
う設定。怖ッ!

鉄砲渡しの段は、芳穂太夫さんと清志郎さんの浄瑠璃で、
花守り関兵衛実は斎藤道三(玉輝さん)が、簑作実は勝頼
を花守りの助手として謙信に紹介し、勝頼が謙信の館に入
り込むと言う場面と、謙信が関兵衛に足利将軍暗殺に使わ
れた鉄砲を渡して犯人を捜すように命令する(実は道三が
真犯人で、この物語の黒幕だったりします)。

十種香の段の浄瑠璃は、千歳太夫さんと富助さん。
この段と次の奥庭狐火の段の主役と言うか、この本朝廿四
孝の一番の見せ場を務める八重垣姫(勘十郎さん)の登場。
花守りになった簑作実は勝頼を挟んでの左右の部屋で回向
をする濡衣と八重垣姫の対比の面白さと、憧れの勝頼が目
の前に現れて、お姫様とは思えぬぐらい自分から積極的に
言い寄る八重垣姫の行動力がなんともカワイイ場面です。
この段の“こんな殿御と添ひ臥しの身は姫御前の果報ぞと
・・”を聞くと、いつも枝雀さんの落語の“不動坊”で、利
吉がお滝さんと結婚に浮かれて風呂場で浄瑠璃を語る場面
が思い出されます。

奥庭狐火の段は、織太夫さんと藤蔵さんにツレが寛太郎さ
んで琴の清公さんと言う構成の浄瑠璃でした。
この段は、八重垣姫と言うか勘十郎さんの真骨頂って感じ
で、狐の大好きな勘十郎さんが舞台狭しと走り回りながら
狐と八重垣姫の早変わりなど外連(けれん)をたっぷり楽
しませくれる舞台です。
最後は勘十郎さんの八重垣姫が諏訪大明神のお使いの狐た
ちに囲まれて拍手喝采で華やかに終演って感じでした。

やっぱり文楽は面白いですね!コロナ禍での再開に際して
色々ご苦労があったと思います。感謝です。楽しませてい
ただきました。

第3部のスタートが18:00って事で、インバウンド以前に
戻った観の黒門市場近くにある「とんかつ 吉兆」さんの
ロースとんかつ定食で、観劇前の腹ごしらえ。
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デミグラスソースがかかって、洋食屋さんのとんかつって
感じで美味しかったです。

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おめでたい文楽 [文楽]

今日は、文楽鑑賞仲間の方々と文楽を観に行く前に、色々
と評判を耳にして行ってみたいと思っていた大阪市立東洋
陶磁美術館の「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コ
レクション-メトロポリタン美術館所蔵」を観に行ってき
ました。
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館に入ると、ロビーの吹き抜けの空間に四代田辺竹雲斎さ
んの巨大な竹のインスタレーション“GATE”が、大蛇のご
とくどくろを巻きながら2階まで身体を伸ばし、見上げる
その姿に圧倒されました。
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そして、展示室には、歴代の田辺竹雲斎の作品をはじめ、
超絶技巧で作られた竹工芸品が、その作品と響き合うよ
うな所蔵の陶芸作品と並べて飾ってあり、繊細で大胆な
手仕事の世界と、めくるめく幾何学模様の世界を堪能す
ることができました。
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なんだか理系の血が騒ぐ、展示会だったような気がしま
す!笑
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竹工芸の作品と一緒に、川崎毅さんの街シリーズの陶芸
オブジェ作品や飛青磁花生などエリック・ゼッタクイス
トさんの陶器をモチーフにしたドローイングなどの展示
もしてありました。

竹細工を観る前の腹ごしらえは、裁判所裏にある「ちー
ず亭」さんで特製ビーフシチューをいただきました。
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トロトロのビーフシチュー、ごろりとのったチーズも相
まって美味しかったです。
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ちょうど大阪国際女子マラソンのコースが東洋陶磁の目
の前だったので、東洋陶磁に入る前に最後の選手を少し
だけ応援させてもらいました。(トップ選手は見逃しま
した。。。)

そして、竹細工の後は、国立文楽劇場で「令和二年 初春
文楽公演(第二部)」の千穐楽を拝見。
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もうじき節分なのでお正月気分って感じでもなかったん
ですが、さすがに新春公演ってことで劇場は睨み鯛など
仄かにお正月気分が残っていました。
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そして演目は、加賀見山旧錦絵から草履打の段 、廊下の
段 、長局の段、奥庭の段 。そして、明烏六花曙から山
名屋の段でした。
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加賀見山旧錦絵の草履打の段。三味線は清治さんで、靖
太夫さん(呂勢太夫さん病気休演の代打)、芳穂太夫さ
ん、小住太夫さん、亘太夫さん、碩太夫さんの掛け合い
浄瑠璃でした。
場面は鶴岡八幡宮の門前、参拝に来た中老の尾上(和生
さん)と局の岩藤(玉男さん)。町人上がりの尾上に対
して武芸のたしなみも無い役立たずといちゃもんをつけ
る岩藤、立場上反抗のできない尾上の頭をあろうことか
自分の草履で打って、プライドをずたずたに引き裂く!
岩藤の悪役っぷりに、ムカムカするよな話でした。
次の廊下の段は、藤太夫さんと團七さんの浄瑠璃。
尾上の召使いお初(勘十郎さん)が、廊下で女中たちか
ら草履に一件を聞かされていると、そこに岩藤が現れ、
お初に対してもいがかりを付ける。そこに弾正(玉輝
さん)が現れ、お家転覆の密談をはじめる。
そして長局の段は、前が千歳太夫さんと富助さん、後
が織太夫さんと藤蔵さんの浄瑠璃。
草履で殴られあまりの恥辱に死を覚悟する尾上、お初
はそんな尾上に対して、忠臣蔵の話を例えに短気を起
こさぬように説得するが、尾上は実家に書状を届けて
ほしいとお初に頼み、お初が屋敷から離れたすきに自
害をしてしまう。
最後の奥庭の段は、靖太夫さんと錦糸さんの浄瑠璃。
主人尾上の敵討ちとばかりにお初が、岩藤のいる奥屋
敷の庭に忍び込むと、お家の大事な品を盗んできた家
来を岩藤が殺すところにでくわし、これ幸いに尾上の
仇を討とうと躍り出て、岩藤との決闘の末に岩藤を成
敗する。その騒ぎにお家の重鎮が現れ、お初が岩藤と
弾正の密書を手渡し、めでたく終演となりました。
今で言うところのパワハラって感じで、最後ですっき
りするというより、ちょっとザラっとした気分が残る
話でした。

2幕目の明烏六花曙の山名屋の段の浄瑠璃は、呂太夫
さんと清介さんに胡弓の燕二郎さん。
こちらは文楽には珍しい吉原の話なんですが、主人公
のちょっと男が頼りないのはいつもの通りって感じで、
遊女浦里(勘彌さん)と恋仲の時次郎(玉助さん)。
浦里がいる女郎屋の主人勘兵衛(文司さん)は、時次
郎の家の家宝の掛け軸を盗み、その詮索で時次郎が浦
里を利用していると思い込み、浦里から時次郎のこと
を聞き出そうと遣り手婆のおかや(簑一郎さん)と一
緒に拷問をするが口を割らない。そこに浦里に横恋慕
する手代の彦六(簑二郎さん)が加わり、助ける代わ
りに自分のモノになれと言い寄り、おかやとやり合う。
そんなゴタゴタの隙に時次郎が掛け軸を取り戻し、め
でたしめでたしって話でした。勘兵衛が子供拷問する
嫌な場面も有りましたが、とにかく手代の彦六と遣り
手婆のおかやが無茶苦茶で笑わせてもらいました。
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そして今回は、おめでたい新春と合わせて、竹本津駒
太夫改め六代目竹本錣太夫さんの襲名披露興行となっ
ていました。おめでとうございます!

文楽の後は、いつもの台湾料理屋「福華酒家」さんで、
干し豆腐、スイレン、黄ニラでシャキシャキ三昧!
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ぷりぷりの水餃子、パリパリのかた焼きそばなどなど、
いつもながら安定のうまさでした。

今回もチケットの手配から食事会の予約まで、なにか
らなにまでお世話になり、ありがとうございました。

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いつももやもやする近松の心中物 [文楽]

今日は文楽鑑賞仲間の方々と、国立文楽劇場に「令和元年
十一月文楽公演 (第一部)」の千穐楽を観に行ってきました。
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今回の第一部の演目は、近松門左衛門作「心中天網島」の
北新地河庄の段、天満紙屋内の段、大和屋の段、道行名残
の橋づくしでした。
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最初の“北新地河庄の段”、浄瑠璃は織太夫さんと清介さん、
奥は呂勢太夫さんが休演ってことで津駒太夫と清治さん。
紙屋治兵衛(勘十郎さん)と言う、女房おさん(清十郎さ
ん)と二人の子供がいるのに、曾根崎新地の遊女紀の国屋
小春(蓑二郎さん、河庄の段でちょっとだけ簑助さん)に
入れあげ、恋敵の江戸屋太兵衛(勘壽さん)に小春を身請
けされそうになって心中をしようと約束。それを知った治
兵衛の兄粉屋孫右衛門(玉助さん)が、侍に化け小春の真
意を探るのと治兵衛を諭しに来る。小春はおはんから手紙
を受け取り治兵衛つれない態度を取るが、それに腹を立て
た治兵衛は小春に手をあげる。小春の真意を知った孫右衛
門が仲裁し治兵衛を引きずって帰っていく。

次の“天満紙屋内の段”の浄瑠璃は、希太夫さんと清馗さん
に呂太夫さんと團七さん。炬燵でふて寝している治兵衛。
小春が身請けされるとの噂を聞いた孫右衛門と母が治兵衛
を訪ねてくるが、身請けするのが治兵衛ではないと判って
ほっとする。が、身請けの話を聞いた治兵衛はおいおい泣
いている。見かねたおさんは手紙の話をして金を渡そうと
するが、おさんの父が現れ二人を離縁させる。望みを失っ
た治兵衛は小春との心中を決心する。

そして“大和屋の段”の切は咲太夫さんと燕三さん。心中を
決めた治兵衛と小春、怪しまれないように先に店を出て隠
れている治兵衛。そこに孫右衛門が訪ねてくるが治兵衛が
先に帰って小春は2階で寝ていると聞きとりあえず安心し
て別の場所に治兵衛を探しに行くが、孫右衛門が去った後、
大和屋から小春を連れ出し心中へと向かう。

最後の“道行名残の橋づくし”は、三輪太夫さん、睦太夫さ
ん、靖太夫さん、小住太夫さん、文字栄太夫さん、清友さ
ん、團吾さん、友之助さん、清公さん、清允さんの掛け合
い浄瑠璃。タイトルの通り、橋づくしの浄瑠璃になってい
て、北新地の蜆川から大江橋、なにわ橋を横目に天満橋を
渡り、今の造幣局の向かい銀橋(桜宮橋)を渡ったドン・
キホーテの裏手あたりにあった大長寺で、治兵衛は小春を
切り殺し、自分は小春の真っ赤な帯揚げで首をくくる。
と言う話ですが、ただただ治兵衛と言うどうしようもない
馬鹿な男に巻き込まれ、遊女の小春が殺されるかわいそう
な話にしか思えない現代人の私です。でも、こんな話今で
もちょこちょこニュースでやっているので、時代背景は変
わっても人は変わらないってことでしょうね。。。

話の内容はともかく、今回、清治さんと燕三さんの三味線
を久々にまじかで聞かせてもらって、やぱり素晴らしかっ
たです。
燕三さんと言えば、幕間にロビーに出たら台風被害の募金
を呼び掛けてらっしゃいました。ちょっとだけですが募金
させてもらいました。
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観劇後、ロビーでは、第二部の仮名手本忠臣蔵がらみだと
思いますが、赤穂市の観光PRでお塩をいただきました。
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文楽観劇の後は「中国家常菜 楽活」さんでちょっと早めの
夕食会。
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久しぶりでしたが、変わらず美味しい料理でした。ご店主
の好意でお店を4時に開けていただきました。感謝です。

チケットの手配から食事会のセッティングまで、何から何
までお世話になって、本当にありがとうございました。

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