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雅な歌の世界 [美術館]

曇天模様で時折雨がぱらついた本日、今秋目玉の展覧会
かなと思っている「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」を
観に京都国立博物館平成知新館に行ってきました。
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めちゃ混んでるつもりで出かけたんですが、雨模様のお
かげか?そんなに人気がないのか?は分かりませんが、
良い塩梅にお客さんも多くなく、ことのほかゆっくり楽
しめました。
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解説曰く、三十六歌仙絵も色々有るんですが、今回の作
品は、旧秋田藩主佐竹侯爵家に伝わったことから“佐竹
本”と呼ばれているそうで、この作品を最も有名にした
のは大正8年12月20日に起きた“絵巻切断”事件。
もともと絵巻物だった三十六歌仙絵を山本唯三郎氏が売
りに出したのがはじまりで、あまりに高額で誰も買えず、
このままだと海外に流出する可能性もあったことから、
三井物産初代社長益田孝(鈍翁)氏が発案し、住吉大明神
を入れた三十六歌仙を37枚に切断し、くじ引きで有志37
名が購入をしたと言うことだそうです(会場にはその時、
くじ引きに使った竹の花入れと棒が飾ってありました)。
その後、震災、戦争、高度成長、バブル崩壊などなど、
時代の波の中で色々な人の手を渡り歩いた三十六歌仙の
内、今回31作が集められているそうです。が、期間中の
入れ替えもあるみたいで、本日は24作を見ることができ
ました。

会場3階に上り、先ずは平安時代に書かれた紀貫之の“ち
はやふる”や小野道風が書いた国宝の本阿弥切“古今和歌
集”なとなどの書を拝見。あまりに字が美しく何と書いて
あるのかは読めませんでしたが、繊細で美しい字でした。
次に、歌聖として柿本人麻呂像が多数展示してあったん
ですが、佐竹本三十六歌仙絵も描いた藤原信実の描いた
柿本人麻呂が妙に生々しくって印象的でした。

そして、メインの佐竹本三十六歌仙絵、書は後京極良経
で画は藤原信実。東博所蔵の住吉大明神を筆頭に、大伴
家持、素性法師、藤原兼輔、相国寺の源公忠、源宗于、
藤原敏行、メナード美術館の藤原興風、サンリツ服部美
術館の大中臣能宣、MOA美術館の平兼盛、耕三寺博物館
の紀貫之、野村美術館の紀友則と秀吉の茶杓、藤原朝忠、
逸翁美術館の藤原高光、東博の壬生忠岑、源重之、泉屋
博古館の源信明、五島美術館の清原元輔、文化庁の藤原
元真、北村美術館の藤原仲文、壬生忠見。文化庁の持っ
ている坂上是則は表具が特徴的で、歌に合わせて同時の
風景画が使われていました。
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そして、美男子で有名な在原業平(湯木美術館)と美女
で有名な小野小町は並んで飾ってありました。小野小町
は顔を描かず後ろ姿ってのが、なんとも魅力的です。

大正時代、切られる前の絵巻を田中親美氏が描き写した
模本“佐竹本三十六歌仙絵巻”も飾ってありました。また、
諸々の三十六歌仙絵として、治承、為家本、業兼本、上
畳本、釈教も少しずつですが展示してあり見比べること
もできます。
絵巻では、“西行物語絵巻”も素晴らしかったですし、背
景の絵と字のバランスが美しい“源氏物語抜書”や、色々
な顔のお公家さんが辛辣に描かれた“公家列影図”は性格
まで垣間見えるようで楽しい絵でした。
最後は、江戸時代に描かれた三十六歌仙図屏風で、土佐
派の土佐光起、狩野派は狩野永岳、琳派の鈴木其一が飾
ってあり、同じ三十六歌仙でもそれぞれ表現が違って面
白かったです。

三十六歌仙なにの31枚で、それも期間中入れ替えかよ!
と思って観に行きましたが、20枚ちょとでも十二分に
見応えありました。と言うか絵にパワーがあって見疲れ
るくらいでした。素晴らしかったです。

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